10.「日本における硬玉の加工とその遺跡 ―大珠を中心として―」
木島勉
新潟県糸魚川市教育委員会 長者ケ原考古舘学芸員
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要旨
日本における硬玉の加工は縄文時代から古墳時代まで盛んに行われ、その硬玉は糸魚川青海産にほぼ限定できる。この産出地に数多く立地する遺跡では縄文時代中期中葉になると硬玉製大珠と蛇紋岩製磨製石斧の製作が本格的となる。この地域はそれ以前より滑石・蛇紋岩製耳飾りや磨製石斧の盛んな製作地でもあり、それらと硬玉製大珠の製作技法には多くの共通点を認める。このことから、それらの伝統を基盤として硬玉の加工(大珠の製作)が成立し、その開始は縄文時代前期後葉に求めることができる。
1.硬玉製大珠の製作遺跡
遺跡の立地:姫川‐青海川下流域と周辺の海岸部に多い
主要な遺跡:長者ケ原遺跡、境A遺跡、寺地遺跡など
特 徴:・集落規模は異なるが縄文中期中‐後葉に盛期
・盛ん磨製石斧の製作
・周辺に縄文早・前期の玉類製作遺跡
2.大珠の製作
石 材:硬玉、軟玉、碧玉、蛇紋岩、滑石
製作工程:@「採取‐選定」→曝臍僅」→「敲打」→「研磨」→f穿孔」→「研磨」
A「採取・選定」→「研磨」→「穿孔」→「研磨」
加工具 :台石、敲石、砥石、錐
時 期 :縄文中期中葉より盛んになる
3.磨製石斧の製作
石 材 :蛇紋岩、角閃石系(透緑閃石、軟玉)、珪長岩
製作工程:@「採取‐選択」→Γ剥離」→「敲打」→「研磨」
A「採取‐選択」→「研磨」
B「採取‐選択」→「擦切」→「敲打」→「研磨」
加工具 :台石、敲石、砥石、石鋸
時 期:縄文早‐前期に開始、中期前葉に盛んになる
4.硬玉加工の成立
・硬度6.0〜6.5前後の石材を磨製石斧に利用
・前期後半になると非硬玉ながら硬質石材を玉類に利用
・硬玉産地周辺では早・前期から磨製石斧と非硬玉製玉類の製作
・前期後半には原石産地から離れた地域にも磨製石斧と玉類製作遺跡が出現
・大珠の加工技術は磨製石斧の製作技術と共通
→○磨製石斧と非硬玉製玉類の製作の延長に硬玉加工が成立
〇硬玉加工は前期後葉に成立
○本格的な硬玉加工は中期前葉末
○本格的な硬玉加工に伴う集落の大規模化
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