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急速に高齢化する東アジア諸国
―経済開発と高齢化―

 経済開発が進むことによって、生活環境全般の改善が図られ、死亡率の低下が始まる。これによって、人口動態については、多産多死から多産少死へと移行し、人口は増加へと転じる。さらに、一般に、出生率が低下し、少産少死へと移行することによって、人口は安定に向かう。こうした現象は一般に人口転換と呼ばれ、様々な角度から研究がなされている。

 ただし、必ずしも人口の安定化に直ちに向かう訳でなく、経済的離陸が遂げられる過程で少産化が極端に進むと、人口の年齢構成の高齢化へと向かうこととなる。
 西ヨーロッパ諸国では、様々な技術的発展とともに人口転換が進み、高齢化も漸次進んでいる。しかし、東アジアの諸国では、技術導入により経済開発が急速に展開し、急速な人口の高齢化へと向かっている。
 国連では、高齢人口比率(65歳以上人口比率)によって、7%〜14%を高齢化社会、14%〜20%を高齢社会、20%〜を超高齢社会と呼んでいる。
 現在、日本は高齢社会からまもなく、超高齢社会へ入ろうとしている。
 韓国、中国は既に高齢化社会に突入しており、さらに早期に高齢社会に到達すると見込まれている。
 また、日本・韓国については、高齢化比率が、いずれ30%を超えると見込まれている。


  東アジア各国の高齢化の推移

到達年期間
高齢化
社会化
(7%-)
高齢
社会化
(14%-)
超高齢
社会化
(20%-)
高齢化
社会
高齢
社会

年間年間
中国2002202720372510
韓国200020202029209
日本 1970199420062412
シンガポール199920172023186
国連人口推計中位による。
各年次は毎5年を直線で中間補完して求めた。
 高齢化の速さについては、高齢化社会あるいは、高齢社会の期間の短さで表現されることがある。これまで、日本は、西欧諸国に比して、極めて急速に高齢化が進んだとして、高齢化比率が7%から14%に推移した期間の短さが指摘されてきた。
 韓国では、2000年に高齢化比率が7%を超え、今後の見通しから、世界でも最も速く高齢化が進んでいると言われている。ただし、シンガポールはさらに急速に高齢化が進みそうである。
 寿命の伸び、人口の高齢化に対しては、個人の生き方についても、様々な社会制度についても大きく変革せざるを得ず、事前的・計画的に対応していくことが必要となっている。
 日本のこれまでの対応については、年金問題を始めとして、必ずしも計画的になされてきたとは言えないようである。
 特に、高齢化・人口減少を肯定的に捉えていくためには、事前的に対応していくことが重要である。


 経済的発展とともに生活水準が向上し、寿命が伸び、人口構成の高齢化が進むといった関係は、一般に見られる現象である。
 各国の高齢化の進展については、各国それぞれの事情があり、経済発展の程度と高齢化比率の一意的な関係を提示することはできない。しかし、実際の各国の一人当たり総国民所得と高齢化率の関係を描くと、世界各地域別の特性がよく現れている。
 所得水準も高く、高齢化比率も高いのは、概ね、西ヨーロッパとアメリカ・カナダ、オーストラリア・ニュージーランドに限られており、それに例外として、日本が加わっている。
 東ヨーロッパと旧ソ連邦諸国は、古くから経済開発が進み高齢化比率が高くなっているが、経済体制の崩壊により所得水準が低くなっている。
 中南米諸国は、早い時期に経済開発が期待された地域であったが、着実な経済開発が展開せず、経済的にも、高齢化比率についても、中間的位置にとどまっている。
 中東諸国のうち産油国については、所得水準はあがっているが高齢化比率はまだ上がっていない。現在の経済活動が、今後の社会開発に着実に繋がっていくか懸念されるところである。なおイスラエルとキプロスは既に所得水準が上がり、高齢化もある程度進んでいる。
 アフリカ諸国のほとんどは、経済開発が停滞したままとなっている。
 アジアでは、日本以外に、シンガポール、韓国が急速に経済開発が進み高齢化している。中国がこれに続き、さらに何カ国かが離陸の時期に達している。このうち特に中国については、一人っ子政策により、早い段階から高齢化が進展している。

 かつて約半世紀前、第二次世界大戦後に、世界各国の経済開発が目指された際、経済援助等を契機として各国が順次離陸していくと楽観的に考えられていたが、多様な国家での経済開発は決して容易でなかった。実際に、経済的に離陸できたのは極わずかにとどまっており、むしろ経済的格差は拡大している。現在、先進国は持続可能な地球社会という観点からは過剰消費社会に陥っていると考えられ、一方で途上国の貧困の課題が大きくなっている。こうした中で、各国は、それぞれなりに、いかに尊厳ある生き方を選択していくかが課題となっていると言えよう。


(統計データ)
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(Oct.08,2003.)