English

第1章 経済開発の進展
第1節 経済の発展段階

  

3 所得水準

要旨
 人口と国民総所得から一人当たり国民所得を求めることができる。これは、それぞれの国の発展段階を示し、国民の生活水準を予想させてくれる。
 世界各国の一人当たり国民所得については、3万$/人超の国から、100$/人の国まで300倍以上の開きがある。
 東アジアでは、中国 840 US$/人、韓国 8,910 US$/人、日本 35,620 US$/人などとなっている。
 なお、一般に、所得水準が低いほど購買力平価では割増され、千US$以下であれば概ね3倍以上の評価となる。  世界各国の所得水準については、前項の所得地図の色分けでも既に描いてある。

次ページ



(1)世界の所得水準

 人口を横軸に、国民総所得を縦軸にそれぞれ対数尺度でとれば、右肩上がりの45度線が、一人当たり所得の等値線となる。

 世界全体の一人当たり所得は、5,000US$強であるが、地域によって大きな違いがある。
 北アメリカ及び西ヨーロッパは2万$/人を超え、最も高い。
 これに対して、サハラ・サブサハラ及び南アジアは500$/人台である。

 なお、各国の所得水準の経年変化については、別ページのとおり。
 また、所得分配・平等度に関する検討は、次章で扱う。


地域別人口、総国民所得

人口総国民所得一人当たり
所得
百万人十億$$/人
東アジア1,496 23.9 6,564 19.4 4,456
東南アジア537 8.6 625 1.8 1,283
南アジア1,396 22.3 716 2.1 513
中東・西アジア281 4.5 759 2.2 3,410
アジア小計3,710 59.4 8,665 25.6 2,421
旧ソ連諸国286 4.6 530 1.6 1,853
東ヨーロッパ130 2.1 723 2.1 5,552
西ヨーロッパ384 6.2 9,403 27.8 24,470
ヨーロッパ小計801 12.8 10,657 31.5 13,309
北アフリカ145 2.3 216 0.6 1,549
サハラ・サブサハラ737 11.8 436 1.3 599
アフリカ小計882 14.1 652 1.9 752
北アメリカ425 6.8 12,340 36.4 29,037
中アメリカ67 1.1 147 0.4 2,636
南アメリカ331 5.3 897 2.6 2,714
アメリカ小計823 13.2 13,384 39.5 16,497
オセアニア33 0.5 501 1.5 15,513
世界総計6,248 100.0 33,858 100.0 5,559
一部総国民所得が掲載されていない国がある。
一人当たり所得は、国民所得が掲載されている国のみで
計算してある。


 さらに一人当たり所得を国別に見れば、アメリカ・日本等の3万$/人超の国から、サブサハラの100$/人の国まで300倍以上の開きがある。

 100$/人の水準とは、それぞれの国の事情にもよるが、経済活動を行うための社会組織がまったく形成されておらず、生活全体が自然に直に接して営まれている状況といえよう。




(Apr.19,2005.Rev.)


日本/中国42
韓国/中国11
一人当たり所得
US$/人
中国840
日本35,620
韓国8,910
香港25,920
モンゴル390

(2)東アジア等の所得水準

 東アジア全体としての所得水準は概ね4,300US$と見られるが、これまで見てきたとおり、国によって大きな違いがある。
 日本の人口は中国の約1/10であるが、総所得の規模は約4倍であり、一人当たり所得では40倍を超えている。
 韓国の人口は中国の約1/30であるが、総所得の規模は約2/5にとどまり、一人当たり所得で10倍を超えている。




(Aug.22,2001)




(3)購買力平価 所得水準の国際比較の評価

日本の所得は、香港・シンガポール・マカオと同水準

 それでは、例えば日本と中国の生活水準に40倍の格差が実際にあるのか。
 生活水準は、単に経済的要件だけで決まる訳ではないが、経済的要件だけ捉え、比較してもこれだけの格差があるわけではない。
 それは国際間の取引の際に用いられる、為替レートで所得水準を共通通貨(ドル)に換算し評価しているためである。
 このための為替レート意味を再考察しておく必要がある。

 所得水準の相互比較において、為替レートで換算される格差と実生活から考えられる格差の乖離を解消するために、購買力平価(PPP:Purchasing Power Parity)の考え方がある。
 これは、生活に必要なもの一式をそれぞれの国でそれぞれの通貨で購入するために必要な額を同等として換算率を求めるものである。
 具体的な数値については、幾つかの国際機関で推計されている。一般に、所得水準が低いほど購買力平価では割増されることとなる。

(以下、内容更新 May.08,2003.)


購買力平価による一人当たりGNI
   各国比較、20,000US$以上,2001年
US$台  該当国
48,000Luxembourg
34,000United States
30,000Switzerland
29,000Norway
28,000Iceland,Denmark,French Polynesia
27,000Netherlands,Ireland
26,000Canada,Austria,Belgium
25,000Hong Kong,Japan,Germany,New Caledonia
24,000Australia,Italy,United Kingdom,France,Finland
23,000Sweden
22,000Singapore
21,000Macao,Kuwait,Cyprus
世界銀行資料による。
 2001年の日本の一人当たり国民総所得(GNI)は、35,610US$で、世界の中では、ルクセンブルク、リヒテンシュタイン、スイス、ノルウェーに次いで第5位の水準であった。ちなみにアメリカは、34,280US$で第7位であった。
 しかし、購買力平価では、為替レートに基づく額の72%の25,550US$とされ、世界第20位となっている。これは、カナダ、オーストリア、ベルギー、香港、ドイツ、オーストラリア、イタリア、イギリス、フランス、フィンランド、スウェーデン、シンガポール等の多くの国と並ぶものである。
 なお、購買力平価での72%という評価は、世界でも最も大きい減価率である。


 東アジア等の諸国の購買力平価での一人当たり国民総所得を見ると、ヴェトナムは5倍、インドネシア、中国、フィリッピンではそれぞれ4倍程度に評価されている。
 この結果、例えば、中国、フィリッピンの一人当たり国民総所得は約4,000US$となっている。


 為替レート評価と購買力平価評価による一人当たり国民総所得の相関については、所得水準が低いほど、購買力平価の評価が相対的に高くなる関係にある。
 これは、2つの評価の差は、地域なりの流通価格、交易市場に乗らない地域固有の財サービス価格などによって生じており、これらの価格が、一般に所得水準が低いほど一層安価になる傾向があるためと考えられる。


 (右図は、上図の購買力平価評価を二つの評価の比率で表したものである。)


 日本での2つの評価の差異は、流通市場の非競争的体質を反映しており解消されるべきものとして語られることが多い。
 しかし、国内での職種による所得格差が少なく、各自が相当の所得を得れる体制になっている場合は、結果として、流通を始めとする様々な経費が高いものとなり、2つの評価の差異は、大きなものとなる。こうした所得配分の側面の評価も必要と考えられるがいかがであろうか。(ここでは、先進国の立場に即した表現となっている。)





(統計データ)

(May.08,2003.Rev.)




参考文献等

情報源




次ページ
章目次
トップページ

(Jul.19,2002.Orig.)