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ジニ係数による所得水準の評価
―平均所得は生活水準を表すか―

 世界各国の一人当たり所得の相互比較は、一般に為替レートにより、US$価格に換算して行われる。
 しかし、これは消費生活水準の相対的高低に必ずしも沿わないため、購買力で評価する必要があるとして、購買力平価により換算し相互比較することも多い。
 さらには、各国内には所得格差があり、その程度が国によって異なるため、これを勘案した一般的な所得水準の評価は考えられないであろうか。
 例えば、所得水準の下位何%集団の平均所得の比較なども考えられよう。ここでは、代表値的な指標としてジニ係数を用いて評価する。
 同じジニ係数であっても、所得分布(ローレンツ曲線)の形状はいろいろ考えられる。しかし、概ね45度線(右下がり斜線)で対称な形状を念頭に置き、全体のA%の低所得層が全体の(100−A)%の所得を得ている、逆に言えば(100−A)%の高所得層が全体のA%の所得を得ているとして、低所得層の平均所得を代表値として相互比較することとする(*1.)。
 この場合、ジニ係数がgであれば、低所得層の所得水準は全体の平均所得水準の(1−g)/(g+1)倍となる(*2.)。

 世界銀行統計により、具体的に日本の一人当たり、所得水準を評価すると為替レートでは、35,620US$と評価されるが、購買力平価レートでは、27,080US$と大きく減価する。さらに、ジニ係数は0.249であり、低所得層は全体平均の60.1%であり、結果として、16,283US$となる。
 アメリカの場合は、全体平均の所得水準は、34,100US$であり、購買力平価でも変化しないが、ジニ係数は、0.408と大きく、低所得層の所得水準は、42.0%の14,338US$となり、日本の水準を下回ることとなる。
 一方、中国については、全体平均の所得水準は、840US$であり、購買力平価では、3,920US$と大きくなるが、ジニ係数は0.403であり、低所得層の所得水準は、1,668US$にとどまる。
 なお、香港については、全体平均の所得水準は、25,920US$であり、購買力平価でも25,590US$とほぼ等しいが、ジニ係数は0.522と極めて高いため、低所得層の所得水準は、8,037US$と低くなる。
 また、ロシアについては、全体平均の所得水準は、1,660US$であり、購買力平価では、8,010US$であるが、ジニ係数は0.487と高いため、低所得層の所得水準は、2,768US$と低くなる。

(統計データ)

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注1.所得階層を2分する意味。
 ここでは、社会は、一般に少数の高所得層及び多数の低所得層(緩くとらえればピラミッド型)で構成されているとし、このうち、高所得層は所得の多寡に生活内容があまり左右されない面があり、その国の一般的な生活水準は、低所得層の所得水準で図ることが適切であろうということを想定している。
 なお、現実の各国のパレート曲線図についても、ある程度適合しているといえよう。
 ちなみに、ここには所得順位で、全体の中央に位置する人も含まれていることなる。
 いずれにしろ、各国の平均的な生活水準を想定する場合、一人当たりの平均所得水準の評価のみでなく、その国内での配分パターンを加味することによって、より確かなイメージを描いていく契機となろう。例えば、購買力平価による評価では、香港と日本の一人当たり所得水準にほとんど差がないが、平均的なイメージとして同じ生活水準を描くことができないことは明らかであろう。


注2.ジニ係数を用いて低所得層の所得水準を求める計算
一辺の長さ=1の正方形で検討
外側の面積 s'=1*(1-a)/2*2=1-a
内側の面積 S=1/2-(1-a)=a-1/2
ジニ係数 g=S/(1/2)=2S=2a-1
     a=(g+1)/2
低所得層所得水準比率 R=(1-a)/a=(1-(g+1)/2)/((g+1)/2)=(1-g)/(1+g)


(May.16,2003.)