構造改革に直面する雇用
−−韓国・日本の雇用情勢−−
韓国:賃金勤労者の横ばいと自営業主の漸増
韓国の人口の年齢構成については、2000年においても、65歳以上人口比率が6.7%と若く、人口増加は少なくとも2,30年は続くとみられている。
このことから、当面、労働力人口の増加は続く。
さらに、女性の労働力率が、1980年代に急速に上昇し、'90年代以降も増加し続け、今後も増加の余地があるものとみられ、このことからも労働力人口の増加は続くであろう。
韓国においては、アジア通貨危機から波及した経済的混乱で、財閥企業等が大きな打撃を受けた。このためIMFの支援を受けており、この危機自体が「IMF危機」と呼ばれている。
この際、いったん、失業率が急上昇したが、その後、急速に回復している。
ただし、産業組織の構造改革が十分に進んでいるかどうかは議論がある。また、回復にともない、かえって労働争議が多発している面もある。
失業率を行政区域別に見ると、大都市ほど失業率が高い。
これは、急速な人口集中が大きな要因となっていよう。
就業者をその雇用形態別に見ると、賃金勤労者については、IMF危機で、一旦減少し、ようやく回復した。
一方、非賃金勤労者については、漸増を続けている。
ちなみに、農家は非賃金勤労者が多いものと予想される。
しかし、農家の就業者数は、人口2001年で全体の11%であり、減少し続けている。
このことから、農業就業が失業の受け皿になっているわけではない。また、敢えて農家・非農家を分離して分析しなくとも大きく誤ることはないであろう。
賃金勤労者のうち、IMF危機で大きく変動したのは常用勤労者であり、まだもとの水準には回復していない。
これに対して、臨時勤労者が急増している。これは、企業の雇用姿勢の変化があったと考えられよう。
この点については、日本と同様の変化であろう。
他方、非賃金勤労者については、自営業主の増加が目立っている。
韓国でも、かつては一つの会社にずっと勤める気風が強かったとされる。しかし、この風潮は次第に変化してきており、特に、韓国の社会全体の構造改革の中で危機感が強くなり、自ら努力して変化すべきという意識が強まっているとされる。あるいは財閥の人事体制もこうした気運を強化している面があろう。
この結果、今日では、大企業に在職していても、退社して起業する気風があるといわれる。
自営業主には、多様な内容の者が含まれるであろうが、今後の新たな経済発展を担う可能性も持ち合わせていると考えられる。
(統計データ)
日本の15歳以上人口は増加し続けている。
しかし人口の高齢化により、非労働力人口が専ら増加しており、現在、労働人口は停滞から減少へと転じつつある。
また、労働力人口と就業者のギャップとしての失業者も増加している。
失業者は概ね1970年頃を底とし、これまで、漸増し続けていた。
しかし、近年は、バブル期をひとつの底として、'90年代をとおして増加し、特に'90年代後半には急増している。
'90年代前半までは、大企業等においては、雇用の確保を大前提に経営していた。しかし構造改革(企業のリストラ)が至上命題となるなかで、一斉に雇用の削減に手が着けられ、失業者の増加に拍車がかかった。
失業率については、地域別では、関西を中心とする大都市地域、及び沖縄、高知、北海道等の周縁地域で高い。
これに対して、中部地方など、大都市周辺地域で低い。
現在、常用雇用は停滞から減少気味に推移している。これに対して、臨時雇用は漸増を続けている。
こうした状況は、機動的な経営のための新しい方向とされるが、勤労者の安定した生活とは背反するものであろう。
若い人には、このような勤労形態を積極的に選択しているとの見方もあるが、環境変化の中でそのように意識している面もあると見られる。
一方、自営業は漸減している。この点は韓国と大きく異なる。ただし、日本では、生業的小売店の閉店等が多いためこの数値だけでは実態は十分に判断できない。
しかし、今後の産業活動を支える新しい事業の担い手として自営業等への期待は大きく、この減少は、日本経済全体の先行きを懸念させるものである。
(統計データ)
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(May.24,2002.)