民間部門の拡大と生産性の向上

民間企業従業者比率と所得水準に高い相関

 アジア開発銀行の"Asian Development Outlook 2001"では、中国の項で、特にコラムを設けて、「民間部門の経済開発における役割」を解説している。
 右図もこの解説にある図を当方入手のデータで再作成したものである。この従業者の統計には、個人企業まで十分には算入されていないようである。

 中国の今後の経済成長において、民間部門の拡大、国有企業等の民営化は避けられない課題である。
 民間企業は、これまでの労働力人口の増加及び国有企業等が解雇する労働力の相当数を吸収してきている。
 ただし、民間企業の活動は、まだ量的には限られている。アジア開発銀行の解説では、GDPの中での民間企業の比率は13%(1998年)にとどまり、民間企業との提携企業等まで含め広義に定義すれば約50%としている。
 しかし、地域毎の民間企業従業者比率と人口1人当たりGDPとの相関は高い(ここでの民間企業とは、国有企業及び都市集体企業を除いた外資系企業、香港・マカオ・台湾投資企業、その他)。
 さらに、香港・マカオ・台湾投資企業従業者の比率が突出して高い広東、福建を除けば、相関係数(自乗値)は、0.741となる。またこの回帰直線での従業者比率の係数は990であり、従業者比率の1%ポイント上昇に対して、1人当たりGDPが990元($120)上昇している。なお、アジア開発銀行の解説では、1%ポイントの上昇が$20/人に相当すると記述されているが、掲載されている図では$200/人となっている。
 ただし、民間企業比率自体が未だ低い水準にあり、民間企業の生産性のみが地域全体の生産性の高さを担っているとは捉え難い。
 むしろ、産業立地のための優れた環境がある地域では、海外等からの投資も多く、民間企業も多数設立され、公的企業の活動ともあいまって、地域全体として高い生産性を上げているということになろう。
 もちろん、これは民間企業の必要性を否定している訳では決してない。公営企業の民営化は当然避けられないし、また、民間企業が積極的に活躍する経済環境を整備してこそ、確実な開発が期待できよう。

(統計データ)

参考文献等
アジア開発銀行"Asian Development Outlook 2001"

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(Sep.19,2001.)