産業連関の形成

産業発展の初期においては、他産業からの投入が少なくそのまま最終商品になるような業種の成長から始まる。
産業連関分析で言えば、前方連関及び後方連関の少ない業種ということになる。簡便には、内生部門比率が少なく(あるいは付加価値比率が高く)、付加価値中の労働者経費比率(雇用者所得比率)が高い産業ほど、着手しやすいといえよう。
現実の特定時点の特定地域での産業連関表の産業分類でこの様子が十分に読み取れる訳ではない。
しかし、例えば中国の産業連関表で見るとある程度はこの様子が伺える。
右図、左上方にある、農業や建設業は着手しやすい産業である。サービス業は商業、飲食業等が入りやすい。運輸、金融等は他産業との連携で生まれてくる。
製造業では、建材、繊維さらには金属等から入りやすい。機械、化学と次第に高度化し、その極に石油がある。
食品は着手しやすいと考えられるが、農業等との連携があり、図上では高度化した位置にある。
製造業に限って言えば、軽工業から重工業への発展を順次たどっていくこととなる。
このような段階的な産業連関の形成に対して、国外の資源を加えれば、連関の形成を部分的に省略することができ、飛躍が可能となる。
生産財、原材料そして技術を外部から導入すれば、国内需要に対応した製品をただちに生産することができるようになろう。これは輸入代替と呼ばれている。
さらに、国内の需要の形成も経ずに、必要な資材をすべて国外から導入し、製品を国外に輸出するのであれば、労働力の提供のみで生産が成立する。これにより外貨が取得でき、国内に必要な生産システムを直接整備していくことができる。これが輸出代替による開発と呼ばれている。
この際、国内の有利な資源は、労働力であり、労働集約的業種から出発するが、産業システムの形成とともに、資本集約業種へと移行し、一層高い生産性を上げることとなろう。極端な議論では、この段階も飛び越え、キーを回せば稼動し始めるプラントの導入から始めるとよいという主張もある。
現在では、情報通信システムの発達により、ソフトシステム、プログラム開発などは、基盤環境施設の整備を殆どせずに、可能となっているため、労働コストの低廉さだけで、任意の地点に事業を起こすことが可能となっている。
国内の産業連関システムの形成が守備よく達成されるのであれば、この輸出代替が素早く開発を展開していく手法となろう。
ただし、国内に十分な知的蓄積があり、所得の一定割合が貯蓄され投資に回され、基盤施設等の整備とともに、新たな生産のための投資がなされるシステムが形成されることが条件である。
この点からも、開発には、国民の教育こそが大切とする視点がある。
かりに、国内に受け入れ態勢が十分にないと、自立的発展に至ることはできない。むしろ、債務のために疲弊する状況に陥る可能性もある。
また、飛躍した発展については、国内の地域による格差が生じるため、この解消をどう図っていくかも課題となる。
いずれにしろ、情報システムの発展もあり、条件が整えば、急速な経済開発が可能となってきている。
こうした中で、企業活動はは次第に国から独立し、より生産性の高い(利潤の上がる)地域に立地するようになり、国境の意味も変容していく。
こうした論理では、早晩、各国の所得格差は解消していくこととなる。
しかし、現実には、このような経済開発を許容し、支えていく社会システムが首尾よく整備されていくかが大きな課題である。
一方、日本等にとっては、このような動きの中で、経済活動の新たな展開を図っていかなければ、雇用の維持がおぼつかなくなる。
こうした状況を十分に踏まえて共生の道を探ることこそ必要であろう。
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