知識を活かす業種・職業への移行
−−国際化と情報化の中での日本の産業変化−−
中国経済の発展により、日本経済も大きく変化しようとしている。
特に、日本独自の事情としてバブル経済の崩壊があり、さら世界全体の状況として情報技術の進展、その他の環境変化があり、こうした中で、日本の産業がどのように変化していくのか関心の持たれるところである。
現時点では、専ら景気後退の苦境が表面にでている。しかし、新しい産業構造・企業組織への転換は、確実に始まっている。ここでは、国勢調査(抽出速報)での産業別職業別従事者数の変化を見る。
業種構造
1990年代後半の産業構造の変化として従事者の増減を見ると、中国等との競争力の喪失による製造業の大幅減少が目立つ。農業については、長期的趨勢とともに中国からの開発輸入の影響も受け始めている。さら建設業についても、大幅の景気浮揚策を継続することは困難となってきており、やはり減少している。
一方、卸小売飲食業についても景気低迷下の消費需要の停滞から同様に減少している。
こうした中で、サービスが増加を見せている。
サービス業の内容を中分類で見ると、人口の高齢化の中で、介護保険の制度化もあり、社会保険・福祉が大きく増加しており、医療もやはり増加している。
また、情報サービス・その他事業サービスの増加も著しい。これらについては、小分類段階でソフトウエア業の分離や人材派遣業の追加など分類の変更も行われている。
また、専門サービス業については、土木建築サービスが太宗を占め全体として減少しているが、公認会計士事務所・税理士事務所、獣医業は増加している。なお、法律事務所については公証人役場等も一体となっており動向は定かでない。他方、デザイン業、機械設計業を独立した業種分類としている。
以上のようにサービス業での従事者の増加は、社会経済の高齢化や情報化を受けたものとなっている。
職業構造
次に職業別従事者の増減を見ると、産業別と概ね重なる内容として製造建設労務作業従事者や農林漁業従事者の減少がまず見られる。
さらに、'90年代後半の明確な変化としては、管理的職業の著しい減少がある。これに対して、専門的技術的職業及びサービス職業は引き続き増加している。
業種別職業別変化
産業別職業別従事者は、それぞれの業種で特定の職種に集中している。
建設、製造では生産工程・労務作業従事者が太宗を占める。卸小売業飲食店では販売職が最も多い。サービス業では、医療、福祉、教育部門が含まれるため専門的技術的職業が多い。
1990年代前半には、バブル崩壊直後の動向として製造業で生産工程・労務作業従事者が特に減少し、事務職も減少している。建設業では景気浮揚策もあり労務作業従事者、専門的技術的職は増加している。その他の減少職種については、農林漁業作業従事者が目立つ程度である。一方、卸小売業飲食店、サービス業では多くの職種で増加している。
1990年代後半には、上述のとおり、職種別で管理的職業の減少が目立ち、増加した部分としては、サービス業での多くの職種があげられる。
(管理的職業)
いずれの業種においても、組織のある限り管理的職業がある。
'90年代前半にはまだ増加していたが、'90年代後半にはいずれの業種においても大幅減少に転じている(図は減少数)。
いわゆる景気低迷下でのリストラと捉えられる面も強いが、情報技術の積極的な導入による企業組織の改革がどの程度重なっているかが今後の動向の鍵となろう。
情報技術が効果に活用され情報の共有が進めば、従来のピラミッド型組織は変容し、よりフラットな組織、さらにはタスクフォースを主体とした組織へと変化していくであろう。
なお、事務従事者はについては、従事者総数にあまり変化がないが、今後、情報技術の浸透の中で大幅減少が起こる可能性もある。2000年の国勢調査では常用雇用と臨時雇用を区別した統計を掲載しているが、この移行も課題となってこよう。
(専門的技術的職業)
専門的技術的職業は、主としてサービス業中心の職業である。ただし、製造業・建設業にも多くの技術者がいる。
'90年代前半においては、保健医療、社会福祉専門職の増加が際立っている。また、建設業では技術者の増加があった。
'90年代後半では、サービス業で保健医療、社会福祉専門職と並んで技術者の増加も目立つ。また経営専門職も大幅に増加している。なお、教員、宗教家は大幅な減少となっている。
この技術者の増加については、情報サービス業の増加を支える情報処理技術者が主体とみられる。
(サービス職)
サービス職については、ほとんどがサービス業と卸小売業飲食店で占められている。
'90年代前半では、各業種の各職種で増加がみられた。
これに対して、'90年代後半では、増加した職種が限られている。サービス業のうちその他のサービス職業では介護職員(治療施設,福祉施設)、家事サービス職業従事者ではホームヘルパーの分類がそれぞれ新設されており大幅に増加したものと見られる。
日本の産業は、今後、知恵の創造を核とした事業展開を図っていく必要がある。
こうした中で、情報化の趨勢ともあいまって、各企業のコンピテンシーを活かした専門化とこれに呼応した業務の外注化(アウトソーシング)が進んでいると見られ、新しい変化が確実に起こっている。
しかし、その進み方が極めて不十分で、経済全体が低迷している状況にあるといえよう。
(統計データ)
関連項目に戻る
(Feb.06,2002.)