中国経済の過熱
―何が隘路か―
中国の2001年以降の経済成長率は、'90年代前半の水準には及ばないが、10%ないしはそれ以上の高い水準を続けている。
中国の経済規模自体はかつてに比べて格段に大きくなっており、その変動は中国自身はもとより、世界経済に大きな影響を与えるため、今後の動向に強い関心が寄せられている。
こうした中で、2003年末頃から、中国の経済活動の過熱が懸念され始めた。
ただし、単に成長率を捉えれば、異常に高いとも言えようが、これが過度に高いものかどうかの判断は容易ではない。
かつて日本において、東京オリンピック(1964年)頃までの経済の高成長の中では、消費・生産の拡大が、輸入の増加につながり、国際収支の限界から経済の急速な成長を抑制せざるを得なかった。
現在の中国の貿易は、輸出入ともに急速に拡大しているが、全体では黒字基調が続き、かつての日本のような国際収支の天井に直面しているわけではない。
ちなみに、ごく最近まで、中国の輸出は、貿易相手国によって、デフレの輸出として問題視されていた。しかし、現時点では、少なくとも日本にとっては、資機材の輸入者しとて重要な位置にあり、景気浮揚を支えていると捉えられている。
経済活動の過熱の中では、物価の急騰も留意すべき要素となる。
しかし、現在の中国の物価の上昇は、必ずしも厳しいものではない。
ちなみに、2003年では、原燃料の上昇が若干目立っている。
なお、消費者物価については、食糧関連の上昇があり、今後の動向が懸念される。
ただし、この上昇率については2003年中の寄与が大きく、2004年の穀物生産等が好調であったこともあり、とりあえずは次第に収まっていくものと見られている。
国内総生産の伸び率を支出項目別で見ると、消費の増加に比して、固定資本形成の増加が著しい。
経済の拡大過程では、必要な基盤施設の整備、資機材の供給の拡大が均衡して展開していく必要がある。
現在の中国では、例えば、電力供給の拡大などが隘路となり、投下された資本が十分に活かされず、過剰となるおそれが一般的にはある。
具体的には、鉄鋼、セメント、アルミ等の基礎素材部門への投資が過剰設備となる可能性があるとされ、選別的に投資の抑制がなされてきている。
この結果、2004年第V四半期においては、投資の伸び率が低くなってきているとされるが、未だ、顕著な変化としては、見えていない。
なお、各地方政府による土地開発についても、その財政収入を目的として過剰に展開されている側面があり、中央政府により抑制が指示されている。
他方、資本形成が進むなかで、消費の拡大が相対的に進んでいないことが懸念される。
特に、都市世帯と農村世帯での一人当たり所得の格差は、一層拡大し続けている。
この格差拡大に関しては、農村世帯においても所得水準の向上が続いている点で不満の膨張を和らげている面があり、このために、中国の経済成長の継続が必須となっているとされる。
以上のように、中国経済の過熱は、循環的課題というより、構造的課題の側面が強いといえよう。
さらに、単に過熱の問題として捉えられることのみでなく、背後には、所得格差拡大はもとより、エネルギー・食糧の確保、環境・地球温暖化への対処など、多様で長期的な課題を抱えている。
(統計データ)
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(Oct.27,2004.)