今後の中国の産業構造の推移
−−離陸第二期へのシナリオ−−

 以下は、中国の今後の経済開発を考えるに際しての仮説を提示したものである。
 仮説の根拠は、日本のかつての産業構造の推移などで限られている。
 今後、内容の検討を深めていくことは当然として、とりあえずの拠り所として整理してみた。

 近年、中国は著しい経済成長を遂げている。特に、沿岸諸省、市等の工業の発展は著しく、世界経済にも大きな影響を与えている。
 しかし、国全体の就業構造で見る限り、工業等第二次産業の構成比は必ずしも拡大していない。
 これは、工業部門等の拡大が、就業者全体の増加の一部分で吸収さる程度であり、全国の構成比としてはあまり増加していないことを意味している。

 今年(2001年)末には、WTOへの加盟が実現し、中国の経済発展はさらに確固としてものとなっていこう。
 今後、国内の広範な地域での工業化が進む段階(仮に離陸第二期と呼ぼう)に入れば、日本の経験から見て、第二次産業就業者の構成比は30%台の半ばまでは拡大していくこととなろう。
 日本では、この飛躍が、1960年代に起こっている。産業構造の格差から見て、中国のその時期については、2010年代前後から始まるのではなかろうか。
 その時期以前の課題として、一つには、既存の工業生産について、国営企業から民営企業への転換が進められなければならない。この改革を経なければ、中国経済全体を浮揚させる工業化には至らないであろう。東北3省など第二次就業者比率が高い多くの省はこの課題を抱えている。
 また、内陸部の省については、これまで沿岸部で見られた輸出代替型発展は困難でなかろうか。このため中央政府の支援ともあいまって、開発基盤が整えられ、同時に消費の拡大も始まることによって、次第に内需対応型の工業から開発が本格化するといった段階を進む必要があろう。

 既に、中国の経済開発は、日本を始めアジア各国、世界全体に大きな影響を与えはじめている。今後、WTOへの加盟を実現し、国内的にも開発の基盤を整え、離陸の第二期(工業の一層の発展段階)に入っていくことによって、世界全体の産業構造の変革を促していくこととなろう。

 他方、日本では、'60年代、特にその後半に厳しい公害問題に直面している。中国においては、既に一部地域では、公害問題に直面し始めているが、今後さらに厳しい状況となっていこう。しかし、日本を始めとした先進各国の経験に倣い、さらに既に開発されている各種の防除技術を導入することによって対処していくこととなろう。
 いっそう厳しい課題は、地球温暖化問題への対処やエネルギー資源の確保であろう。この時期以前に、先進諸国が、これらの問題への対処をある程度実現していることが不可欠であるとともに、中国もある程度それに倣うというシナリオが必要であろう。さもなければ、地球環境は一層厳しいものとなっていこう。

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(Sep.17,2001.)