第1章 経済開発の進展
第2節 経済社会システムの形成
1 産業構造(生産)

(2)貿易・投資の展開

要旨
 中国は、膨大な額に上る外国からの直接投資を受け入れ続け、国際収支の天井を見ない、速い成長を続けてきた。
 特に、新たな産業形成は、国内需要の成長を待たず、輸出指向の生産を主体としたことも速い成長を可能とした。
 しかし、輸出の急速な拡大は、日本、韓国等に産業構造の変化を迫っている。
 他方、東アジア、東南アジアでの地域貿易協定については、緒に付いたところである。

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ア 国際交流による飛躍

(ア)直接投資の受入れ
 中国は、発展途上国として例を見ない膨大な額の国外からの直接資本投資を受け入れている。
 これにより、国際収支制限(天井)を見ないで、速い経済成長を続けている。



 中国の直接投資の受け入れは、1990年代半ばが最大であって現在多少落ち込んでいる。
 しかし、2001年末にWTOへの加盟が実現しており、これに基づく体制の整備によって、再び一層の活性化が進んでいるだろう。

 韓国については、1980年代後半に受け入れのピークがあって、一旦落ち込んでいたが、'90年代後半に再び盛り上がっている。ただし、これはIMF危機との関連を留意しておく必要がある。



(イ)東アジアの相互貿易
 世界の貿易は、WTOのもとで、各種の障害が調整され、自由な発展が促されている。
 輸出額が1千億US$を超える国は、世界で十数カ国に限られるが、この中に日本、韓国、中国、さらには香港、シンガポールが含まれており、東アジア・東南アジア諸国は、貿易立国となっている。


 日本の貿易に関し、経済の貿易依存度は、輸出のGDP比で見て約10%に留まっている。これは、1億2千万人の人口を抱え、国内需要も十分に大きいためである。
 これに対して、中国の貿易は、約20%に達している。これは、12億人を超える人口を持ちながら、この率となっているのは、これまでの経済成長が専ら貿易を軸に展開されてきたことを物語っている。中国の一人当たり所得水準も低いが、それとともに消費性向も極めて低い。
 このため、中国にとっては、グローバル化を通じての経済発展が不可欠であり、WTO加盟を果たした。この加盟によって、中国はもとより、地域経済全体の一層の拡大が見込まれよう。なお、加盟を1年間経過した時点では、良好な成果を上げていると見られる(Feb.05,2003.Add.)。
 なお、中国の貿易の拡大は、外国企業の参入によるところが大きい。
 さらに、韓国の貿易については、35%と高く、限られた人口規模の内需に対して、輸出が、経済活動にとって、極めて重要な位置を占めている。
 こうした中で、日本での中国からの輸入の割合は急速に拡大している。
 また、日本から中国への輸出も急速に拡大しており、双方の産業構造、貿易構造が急速に変化してきていることに留意しておく必要がある(Dec.12,2003.Add.)。


1999年輸出輸入GDP
中国総額(十億US$)195166980
依存度(%)19.9 16.9 -
韓国総額(十億US$)144120398
依存度(%)36.2 30.2 -
日本総額(十億US$)4173094079
依存度(%)10.2 7.6 -







 日本、中国、韓国を中心とした貿易の相互依存関係を見ておく。
 貿易の各国間の構成について、日本、韓国、中国3国それぞれの最大の貿易相手国はいずれもアメリカである。また、3国が、互いに強くつながっている。特に、中国、韓国の輸入中の日本の割合は、それぞれ約20%と高く、中国の最大の輸入相手国は日本となっている。
 北朝鮮については、最大の輸入相手国が中国、最大の輸出相手国が日本であり、それぞれ30%を超えている。





 

イ 東アジアをめぐる地域貿易協定の動き

 既に、世界の経済活動の規模が大きい国の中で、FTAの締結がまったくないのは、日本、中国、韓国、台湾などの限られた国、地域になっている。東アジア地域では、ASEAN加盟国をメンバーとしたアセアン自由貿易地域(AFTA)があるが、極東地域は、自由貿易協定の空白地帯になっているといえる。
 日本、中国、韓国は隣接しているにもかかわらず、所得水準が著しく異なっており、即座に取れる貿易構造は垂直分業的なものであろう。こうした場合でも北米自由貿易協定(NAFTA)のような協定がある。さらには米州自由貿易地域(FTAA)の交渉も始まっている。極東地域では、特定の国がリーダーシップを発揮することができず、協定の締結を見ないままできている。日本も、このような事情も背景にあり、WTOの場での多国間交渉で世界的体制を確立していくことを旨としてきていた。
 しかし、世界経済のブロック化の傾向が見えるなかで、当地域のあり方について、共同して大所高所から検討していく必要があろう。

 当地域では、中国のWTOへの加盟が、実現した。これは、中国が一定の国際ルールの場に入ることであり、地域の貿易を一層安定したものとし増加させる効果があろう。ただし、中国自体はWTO加盟のために、既にこのルールに沿った行動を取っており、昨今の貿易の拡大は著しい。また、こうした開放経済体制に向けて、各般の政治的姿勢も大きく変化してきている。

 こうした中で、今後、地域の貿易構造も大きく変化していくことが予想され、これに対処するため、東アジア地域でも幾つかの2国間ベースの自由貿易協定が検討され始めている。

日本=シンガポール間自由貿易協定の主な検討事項
項目内容
金融
サービス
規制監督、資本市場の連携、
第三国への技術協力における協調
情報通信
サービス
個人データ・プライバシー保護、電子商取引関連法制、
競争確保のための規制協力、電子政府等
科学技術生命科学、環境技術分野の情報交換、共同研究
貿易投資
促進
日本貿易振興会とシンガポール貿易開発庁による
セミナーの共同開催、データベースの共有化
ワーキング・
ホリデー
ワーキング・ホリデーの導入検討に合意
姉妹提携東京・銀座とシンガポール・オーチャード通りと
の姉妹提携の可能性
経済産業省資料
 東アジア地域では、シンガポールが協定締結に積極的である。シンガーポール自身はAFTAに加盟している。しかし、中国の国際経済社会への本格的な参画によって、その地位の低下の可能性もあり、一層積極的な姿勢を示している。これに対して日本、韓国等もASEAN地域との関係を一層強固にする足がかりとして、積極的に検討を進めている。
 貿易協定では、しばしば農産品の取り扱いが懸案となるが、シンガポール自体は農産品の比重が低く、好都合な面がある。

 また、日本と韓国も、協定を検討し始めている。
 さらにASEAN加盟の十ヵ国と日本、韓国、中国(ASEANプラス3)による東アジア自由貿易圏の創設に関しても、2000年11月の首脳会議で作業部会の設置が決められている。

 なお、現在、東アジア共同体への議論が始まっている。(Jan.12,2005.Add.)

情報源
WTO




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(Aug.08,2002.Orig.)