2.経済統合

経済統合の段階

バラッサ「経済統合の理論」
自由貿易地域関税及び数量制限を撤廃
関税同盟対域外関税も共同決定
共同市場資本・労働力等生産要素の
移動の制限も撤廃
経済同盟経済政策も調整
完全な経済統合経済政策を完全に統一し
超国家的機関も設置
 一般に、各種の経済活動は規模の利益を持つ。このため、一層の経済的発展には、できる限り広範な地域での自由な経済取引の環境整備が期待される。
 しかし、特定産業業種や個々の事業者の中には、広範な地域での自由競争に伍していけないと考えられる者も多い。この結果、国境を越えた自由化については、国際的な調整と併せて国内的な調整を経て段階的に実現していくこととなる。
 バラッサ「経済統合の理論」では、経済統合が5の段階に分けられている。
 このうち、最初の2段階の自由貿易地域協定(FTA;Free Trade Agreements)と関税同盟は、地域貿易協定(RTA;Regional Trade Agreements)であるが、地理的に近接していることを要請していない。また、FTAが、RTAの意味で広義に使われることも多い。


世界の地域貿易協定締結の動き

 世界経済の発展のための自由貿易体制の確立は、多国間貿易主義を基本として、WTOの場で検討されることが原則である。
 しかし、多国間貿易交渉には多くの困難があり、一層、時間を要するようになってきている。

 このため、特定の地域内での自由貿易協定の締結が1990年代に活発化している。
 現在、150を超える地域貿易協定がWTOに報告されており、内100以上が1995年以降のものである。


 このような地域間協定は、WTOの無差別原則(最恵国待遇(MFN)原則)に違反する。しかし、GATT協定では、その第24条で例外として一定の条件を付して許容している。(GATT協定=「1994年の関税及び貿易に関する一般協」;WTOへの改組の際にそれまでのGATT協定の内容はWTO協定の付属書に盛り込まれ1994年の協定と呼ばれている。)
 地域間協定は、世界経済のプロック化をもたらし一般には好ましくないと考えられる。しかし、これによって交渉の時間を短縮し、地域の経済構造の改革を促すとともに、WTOの場での交渉の先駆けとなっていけば好都合として、次善の策として肯定されている。

主な地域貿易協定
地域協定名機能加盟国
欧州EU
(欧州連合)
関税同盟15 カ国
EFTA
(欧州自由貿易連合)
自由貿易協定スイス、ノルウェー、
アイスランド、リヒテンシュタイン
CEFTA
(中欧自由貿易協定)
自由貿易協定ポーランド、チェコ等
6 カ国
CIS 独立国家共同体(CIS )
経済同盟
自由貿易協定旧ソ連諸国
北米NAFTA
(北米自由貿易協定)
自由貿易協定アメリカ、カナダ、メキシコ
中南米MERCOSUR
(南米南部共同市場)
関税同盟ブラジル、アルゼンチン、
パラグアイ、ウルグアイ
CACM
(中米共同市場)
関税同盟グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア
コスタリカ、エルサルバドル
CARICOM
(カリブ共同体・共同市場)
関税同盟ジャマイカ、ガイアナ等
14 カ国1 地域
CAN
アンデス共同体
関税同盟コロンビア、エクアドル、ペルー、
ボリビア、ベネズエラ
アジアAFTA
(アセアン自由貿易地域)
自由貿易協定ASEAN加盟10 カ国
SAPTA
(南アジア特恵貿易地域)
関税相互引き下げインド、パキスタン、バングラディッシュ、
ネパール、ブータン、モルジブ
オセアニアCER
(経済協力緊密化協定)
自由貿易協定オーストラリア、ニュージーランド
中東GCC
(湾岸協力会議)
関税同盟サウジアラビア、アラブ首長国連邦等
6 カ国
アフリカUEMOA
(西アフリカ経済通貨同盟)
関税同盟コートジボワール、セネガル等
8 カ国
UDEAC
(中部アフリカ関税経済同盟)
関税経済同盟カメルーン、コンゴ等
6 カ国
COMESA
(東南部アフリカ共同市場)
関税相互引き下げエジプト、ケニア等
22 カ国
SADC
(南部アフリカ開発共同体)
自由貿易協定南アフリカ、ジンバブエ等
14 カ国


 このように地域間協定が増加した結果、多くの貿易は、協定国内相互の貿易となり、その協定の下で行われるようになっている。
 ちなみに、主要な協定であるEU、NAFTA、MERCOSUR、AFTAの輸出入だけでもそれぞれ世界貿易の約2/3を占めている。

WTO

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(Jun.14,2001./Aug.01,2001.Rev.)