急拡大する貿易依存度
―2000年代の中国の貿易の伸び―
貿易額
中国の貿易額は、1970年代以降急拡大している。
農家毎の生産請負制度(「農業生産責任制」)及び人民公社制度解体を柱とする改革開放政策が打ち出されたのは、'78年の中共11期三中全会であった。統計の欠落している年があるが、貿易額は、'75年には既に伸び始めており、この改革開放政策以前のこととなる。
これは、'78年の改革開放政策は、中国南部沿岸諸省の現実的な動きに着目して打ち出され、これが貿易の拡大にさらに拍車を掛けたものと考えられる。
引き続き、'80年代は借款、'90年代に入ってからは飛躍的に拡大した外国からの投資によって、生産が拡大するとともに、貿易額もさらに伸び続けた。この結果、'90年代半ばには黒字基調に転換した。
しかし、'90年代後半に一旦、貿易額の伸びが、若干低下している。'98年の若干の停滞は、アジアの金融危機によるものである。しかし、中国自体は大きな影響を被らず、むしろアジア地域の景気回復の牽引役になったと言われている。
さらに、2001年12月にはWTOへの加盟を果たしており、以降、現在まで、再び著しい伸びを続けている。
こうした結果、2005年時点での輸出入総額は、それぞれ762十億US$、660十億US$に達している。
| 年率成長率 | 貿易 弾性値 |
| GDP | 輸出入 合計額 |
| 1990年代前半5年間 | 26.6 | 33.4 | 1.254 |
| 1990年代後半5年間 | 10.3 | 10.8 | 1.051 |
| 1990年代10年間 | 18.1 | 21.6 | 1.188 |
| 2000年5年間 | 13.0 | 24.4 | 1.870 |
経済成長弾性値
中国が著しく高い経済成長を続けていることはよく知られているが、貿易はこの成長を上回る高い伸びを見せている。
2000-2005年の5年間では、貿易の経済成長弾性率(貿易額の伸び率のGDPの伸び率に対する比率)は、1.87と高いものになっている。
この結果、貿易依存度(貿易額/GDP)は急速に高まり、2005年では輸出入それぞれ34.2%、29.6%となっている。
ちなみに日本の貿易依存度は、長年にわたって、概ね10%前後の水準で推移している。
このように貿易依存度が高い原因として、輸出の水準については、内需が期待するほどには成長していないことがあげられるが、この点については次第に変化しつつある。
一方、輸入の水準については、中国国内での資源の不足があり、この面からの外貨需要とみあった貿易が展開されていくこととなろう。
人口規模の大きな中国の貿易の推移については、周辺諸国を始めとする世界各国との貿易の急激な拡大が伴い、多様な摩擦現象をもたらすなどその動向には、引き続き注視が必要である。
貿易品目

中国の輸出入の品目別構成の推移は、中国の産業構造の変化を反映している。
輸出品目では、輸送機器を含む機械類の増加が著しく、2001年には雑貨を上回り、2005年には352十億US$となっている。

輸出額の品目別構成の変化を辿ると、食料品、鉱物燃料等は長期にわたって減少し続けている。
これに対して、繊維・ゴム・鉱物・鉄については、概ね輸出全体の伸びに見合う伸びを続け構成比としては、横ばいで推移している。
一方、雑貨については、著しい増加を続けており、1990年代初頭までは、構成比を大きく拡大した。
さらに、機械類は、1980年代半ばより著しい速度で増加し続けており、2005年には、全体の46%と1/2に迫ってきている。かつては白物と称される家電製品が主体であったが、多様な電子機器や輸送機械の輸出も拡大しつつある。
このように、中国は、1980年代半ばから20年を経ない間に、一次産品輸出国から、軽工業品輸出国、さらには、重工業品(組立加工品)輸出国へと急速に転換してきている。
現在、一方で垂直分業の性格も持ちつつ、一方で水平分業とされる領域も急拡大していることについては、世界各国のそれぞれの地域で、今後どのような産業構造を展開していくか、戦略的対応が迫られている。

一方、輸入額の推移については、1980年代の前半、1990年代の前半及び1990年代末以降に飛躍的な拡大があり、明確な段階的飛躍があるといえる。
これらの飛躍は、それぞれ郷鎮企業等の立上り期、三資企業等の事業展開開始期、そして現在の拡大期に対応しており、それぞれの事業活動に必要な資本財、製品部材の輸入が拡大していると言えよう。

近年の輸入については、機械類の生産のための資機材の輸入が40%台で推移して最も大きい。
また、2000年代に至って、非食用原料及び鉱物燃料等の輸入が急増しており、世界の需給に大きな影響を与えてきている。
貿易相手国
貿易相手国について、輸出では、アメリカ、香港、日本がそれぞれ全体の10%を超している。なお、香港については、再輸出が多く含まれている。
輸出相手国別の最近の変化については、いずれの国に対しても大幅な拡大を見せている。特に、アメリカへの量的拡大が際立っている。
輸入では、日本、韓国、台湾が、それぞれ全体の10%を超えている。
輸入の変化については、韓国及びその他のアジア地域からの拡大が著しい。日本からの輸入の伸びは相対的にはひくい。
また、アメリカからの輸入の伸びも相対的に低いものにとどまっている。
2000−2005年における世界の貿易の変化を見ると、輸出入とも概ね世界全体では60%増であったが、中国については200%増加で3倍の規模となり突出している。
2005年の世界の貿易の中で中国の輸入の比率は、2000年から2005年に3.4%から6.3%へと、輸出については4.0%から7.5%へとそれぞれ急速に拡大している。ちなみに、中国の貿易額は、まもなくドイツを超え、アメリカに次いで世界第2位の規模となる。
また、2005年の世界の輸出入総額のなかで、EU、アジア(中近東を除く)、北アメリカはそれぞれ、39%、26%、18%を占め、合計84%であり、世界の3つの核となって顕れてきている。
国内地域別貿易増減寄与度
他方、貿易を行っている国内の地域については、広東が約30%を占め、汎珠江デルタ経済圏が大きな位置を占めている。
しかし、近年では、上海を核とし、北側の江蘇、南側の浙江を含めた汎長江デルタ経済圏の伸びが著しい。
また、環渤海エリア経済圏の伸びもめだつが、天津、河北、山東などの首都経済圏にかたよっており、東北3省の伸びは必ずしも高くない。
(統計データ)
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(Nov.16,2006.Rev./Oct.24,2001.Orig.)