日本・韓国における社会の不安化
―自殺、犯罪等の推移―
1990年代には、日本、韓国双方において、いわゆる社会病理現象が急増している。
自殺率の増加
日本での自殺率は、いわゆるバブル経済の崩壊以降に増加に転じており、さらに、企業においてリストラと称した人員整理等に躊躇がなくなった1997年頃から急増している。
韓国での自殺率は、1988年のオリンピック開催を経てほどなく増加に転じ、為替危機の1998年に急増している。
性別・年齢階層別には、日本・韓国共通して、性差が大きく、各年齢層とも男が女を大きく上回っている。
また、両国とも、高齢ほど高くなっており、特に、韓国の男は著しく増加している。
一方、日本では、男の50歳代後半に一つのピークがある。
刑法犯認知件数の増大
日本での、刑法犯の大部分は窃盗犯であり、漸増している。特に1990年代後半には急増に転じている。
また、重要犯については、バブル経済期まで漸減していたが、その後急増している。
韓国においても、刑法犯の大部分は窃盗犯等であり、1990年代に入ってから、急速な増加を続けている。
また、近年は粗暴犯の増大も著しい。
以上のような社会病理現象は、一般には生活環境、特に経済的環境の悪化の中で増加するものと考えられる。ただし、環境条件の捉え方については、相対的なものであり、例え所得水準が極めて低くても、明確な目標があり着実に努力し続けれる状況であれば増加は起こり難い。これに対して、例え豊かであっても、生きていく目標の喪失等があれば、社会病理現象の増加が起こり得ると考えられ、韓国にあっては、オリンピックが開催された、1988年頃にそれなりの転機があったようにも見受けられる。
他方、家族や地域社会での相互扶助あるいは総合監視の体制があれば、上述のような社会病理現象は起こり難いものと考えられが、核家族化や都市化の中で、このような体制は崩れてきていると予想される。日本や韓国の社会について包括的に語る際に、儒教社会の強さを主張したりすることは、もはや困難となりつつあるのではなかろうか。
(統計データ)
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(Aug.25,2003.)