年齢階層別学歴構成
−−長期間を要する教育投資の蓄積−−
教育は、それ自体が各人にとって重要な価値を持つと同時に、各国の経済開発にとっては、人的資源の蓄積として欠くことのできない投資事業である。
教育は主として、各個人の若い時期に集中して行われる。このため、国として教育投資を継続的に行う必要があり、一旦教育活動を怠ると、教育を欠いた年齢層が生じることとなり、当該国の経済開発・経済活動に長期間にわたる重大な支障が生じる。
日本
日本においては、かつて高校、大学への進学率が漸次高まり、概ね四半世紀前に現在の進学率の水準に達し、比較的安定した状態で推移している。
しかし、全世代の高学歴化は、順次進むこととなり、働く世代全体がこの学歴構成に至り、社会の高学歴化が完結すると考えられるまでには、さらに四半世紀近く必要とする。
進学率の増加とともに学力水準の低下が起こるという側面はあるとしても、社会の知的能力の向上はこのように長期間掛けて達成される事業である。
経済活動がグローバル化し発展途上国との競合が厳しくなる中で、日本の強み(比較優位)を活かす経済活動とは、この知的蓄積を真に活かすことであろう。
各自が闊達に知的創造を行っていく経済活動を実現するため、組織としても社会としても知の経営(ナレッジ・マネジメント)が重要となっている。
韓国
韓国においても、社会の高学歴化が次第に進んでいる。
中国
中国については、国全体で不就学者が1割程度おり、後期中等教育(高校)、大学教育を受ける者も限られているが、高学歴化は次第に進んでいる。
中国の高学歴化の進捗には、地域によって大きな格差がある。
北京で高卒以上の学歴を持つ者が5割を超えるなど市域で特に高学歴化が進んでいる。
国際比較
データの性格が異なるが、日本、韓国、中国の高学歴化の実態を描くと、概ね一定の経路を辿っていることが見られる。
日本については、今後さらに四半世紀近くを掛けて、社会全体が現在の若い世代の学歴構成となるであろう。
韓国、そして中国さらには中国各地域も順次高学歴化が進んでいくであろう。ただし、日本の例から言えば、中国が日本の現在の学歴構成に至るには、少なくとも30年以上かかるであろうし、新規卒業者が一定の学歴構成に達して、さらに社会全体がその学歴構成に達するには、半世紀以上要することは間違いない。
| 各国の教育制度の就学年限 |
| 国 | 就学前 教育 | 初等 教育 | 中等 教育 |
入学 年齢 | 期間 (年) | 入学 年齢 | 期間 (年) | 入学 年齢 | 期間 (年) |
| 日本 | 3 | 3 | 6 | 6 | 12 | 6 |
| 韓国 | 5 | 1 | 6 | 6 | 12 | 6 |
| 中国 | 3 | 4 | 7 | 5 | 12 | 5 |
| UNESCO資料 |
教育事業は、字義どおり国家百年の計となる。
現時点においても、若年者教育を充実し始めていない場合にあっては、その社会全体の発展が達成されるには、さらに半世紀から一世紀近い期間を要することが予想される。
性格の異なるデータを並べて教育問題の入り口を整理した。当然ではあるが、社会全体の教育水準を向上させていくには極めて長期間を要することは明らかである。また、ここで証明している訳ではないが、先進国の究極の比較優位は、この蓄積された教育にあることも間違いないであろう。
(統計データ)
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(Jan.09,2002.)