第1章 経済開発の進展
第2節 国内システムの形成
3 消費・投資(支出)

(2) 政府消費・投資

要旨
 東アジア地域、東南アジア地域の各国は、一般に貯蓄率が高く、これまで速い経済成長(拡大再生産)を遂げてきた国が多い。
 一般に、先進国では、人口の高齢化もあり、多様な社会福祉システムを整備してきており、社会保障としての所得移転はもとより、政府消費支出の比率も高い傾向がある。

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ア.個人消費から政府消費・投資へ

 経済活動で得られた所得は、生活のために消費される。しかし、日常生活の消費のために支出されるのみでは、経済社会の一層の発展は期待できない。
 所得の一部は、公的な消費に支出され、社会組織の形成、維持が図られていく必要がある。また当面の消費を控え、拡大再生産のための投資にも費やされる必要がある。
 経済開発とは、所得のこのような支出体制が整備されていくことでもある。


 家計最終消費支出のGDPに占める比率の推移を見ると、韓国では、1960年代半ばの80%台の水準から次第に低下し、'80年代半ばに至ってようやく50%台となっている。
 中国についても、60%台の水準から、'70年代後半に急速に低下し、50%前後の位置にいる。
 これら両国の変化は、それぞれ急激な経済成長の時期に対応している。
 他方、日本については、政府支出の比率が'70年以降漸増しており、一旦、'80年代には一定の水準にとどまっていたが、'90年代に再び増加している。


 東アジア、東南アジア各国の政府消費支出比率(GDPに対する政府消費支の比率)は、概ね10%前後である。
 国際収支が均衡しているとすれば、国内総生産から投資支出と政府消費支出を控除したものが個人消費支出であり、東アジア、東南アジア各国では低い水準にある。


 右図は、世界136カ国・地域の貯蓄率(GDPに対する貯蓄の比率)をそれぞれの所得水準(1人当たりGDP)と関連付けたものである。
 東アジア、東南アジア諸国の貯蓄率は、その所得水準にかかわらず一様に高い。特に、シンガポールは50%を超え、マレーシア、中国はそれぞれ40%を超えている。韓国、日本はこうした中では、一段下がるが、それでもそれぞれ30%を超えている。

 貯蓄率の高さについては、所得水準が極めて低ければ貯蓄する余裕がなく低く、所得の向上とともに上昇するという見方があり得る。しかし、一時点で世界の国々を並べた比較(クロスセクション)では、こうした傾向は見出しにくい。
 中国、韓国、日本の貯蓄率の高さについては、儒教思想に基づく勤勉さを挙げる説明がある。また、これと関連して子弟の教育に熱心で資金が必要との言い方もある。他方、シンガポールやマレーシアについては、社会保障制度が要因になっている面もある。
 いずれにしろ、貯蓄率の水準の決定要因を統計の国際比較から導き出すのは容易ではない。


(Sep.28,2001)




 貯蓄された資金は投資に向かう。国際収支が均衡していれば、投資額は貯蓄額に相当する。ただし、ここでも各国・地域の貯蓄率と投資率(GDPに対する投資の比率)の相関は必ずしも高くない。
 しかし、東アジア、東南アジア各国の投資率は貯蓄率と並んで高い。近年の速い経済成長は、これによって実現している。


イ.投資による生産の拡大

 貯蓄された所得は、投資に巡り、産業活動に直接必要な設備機械とともに広く社会的な基盤施設が整備されていかなければならない。

 例えば、電力、その他のエネルギー資源の安定供給は重要な要素であろう。


 情報ネットワークの整備も重要である。情報システムは、成長の飛躍を可能とする面がある。
 しかし、情報システムの整備の遅れにより、発展途上国と先進国の格差を一層拡大する性格も併せ持っている。

 ただ、基盤施設を整備する建設業等のが、産業組織の中に一端組み込まれると、際限のない整備を求める傾向が出てくる。
 このため、一方で経済の安定的成長を促すと共に、一方で、必要な構造改革が促されていくことが重要となる。
 こうした問題は、公的に開発を進める際の「レントシーキング」の問題として議論されている。



参考文献等

情報源




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(Jul.26,2002.Orig.)