持続可能性に懸念のある外需依存型急成長
―成長する中国経済への障壁―

 中国の第1回全国経済センサスでサービス業など第3次産業の実態を詳しく調べた結果、同産業の経済規模を過小評価していたことが判明し、2004年のGDPは16.8%の上方修正がなされた。
 また、2005年は、9.9%の実質成長があり、名目GDPでは、18.2兆元となった。
 1元を0.124US$とすれば、中国のGDPは2.26兆US$に相当する。既に2004年にはイタリアの規模を超え、2005年には、フランス、さらにはイギリスをも超えたものと見られる。この結果、中国のGDPは、世界でアメリカ、日本、ドイツに次いで第4番目の規模となっている。

 一方、人口13億人とすれば、一人当たりGDPは、1,740US$となる。
 これは、購買力平価を勘案すれば、5,000US$を優に超えているといえよう。


 これまでの中国では、1978年の改革開放、1992年のケ小平による南方巡話、2001年のWTO加盟等を経て経済の高度成長を続けてきている。
 この際に採られた「先富論」は、豊かになれるところから豊かになり、その影響で他が豊かになればいいというトリクルダウンのシナリオであるが、果たして遅れた部分に豊かさが滴り落ちているか基本的な課題がある。その他、エネルギー資源の確保、環境の保全、食糧生産の維持等々多くの課題を抱えたおり、中国の今後の経済成長には多くの障壁があり、先行きは不透明である。


 中国経済のマクロ的な構造を見ると、これまで、外国からの資本投下に大きく依存し、加工貿易を核として成長してきた。国内最終消費需要は必ずしも十分に伸びておらず、現時点では、供給過剰によるデフレが懸念されている。
 経済成長の成果が個々人の豊かさにつながることが国全体としての経済活動の目的であり、さらにその個々人の需要を基礎に経済活動が行われて始めて、継続的自律的発展が期待される。



 中国経済は、規模の大きい経済を持ちながら、一層 貿易依存度を高めており、現在では韓国と同水準に至っている。ちなみに、日本は長期的に、輸出入それぞれ10%程度の水準で推移している。
 中国の貿易の著しい拡大は、関係諸国の産業構造を変革させるものである。
 日本でも貿易の変化を契機として産業構造を変化させてきた。1990年代初め日本のバブル経済崩壊後は、中国からの繊維・ニット、さらに家電製品輸入が急速に拡大し、日本国内の企業の中国への移転が進められた。さらに近年では、中国の加工貿易に対する資機材輸出の増加が、日本の景気浮揚を促すに至っている。
 今後は、中国での技術者・研究者の蓄積から、貿易内容が、次第に水平分業的構造へと移行していくものと予想されるが、国際社会の中で円滑に進むか大きな課題を抱えている。

 ちなみに、2005年は、中国の貿易総額は前年比23.2%の伸びを示したとのことである。


 経済成長の出発点では、次第に出てくる余剰を投資に回す必要があり、GDP中の最終消費の比率は一旦低下することが予想される。しかし、長期的には、成長の成果としての豊かさの享受がなされ、最終消費支出の比率は横ばいから増大へと移行していくことが想定されよう。
 しかし、中国のGDPに占める最終消費の比率は、漸次低下し続けている。
 今後、トリクルダウンの前提が実現し、所得の均てんが円滑に進み、消費需要の拡大に向かうかが課題となっている。

 ちなみに、2005年は、中国の消費財小売総販売額は前年比12.9%の伸びを示したとのことである。


 中国の 所得格差に関しては、地域(省市区)、都市農村、都市内での格差が挙げられ、それぞれ拡大しているとされる。
 都市農村の所得格差について、現在では、一人当たり年間所得で3倍を超すものと見られる。


 豊かさの状況を示すとされるエンゲル係数の推移では、都市地域とともに農村地域でもそれなりに低下し続けている。このことから、格差拡大に関する不満の噴出は相当程度防止されていると考えられる。
 しかし、これは国全体が成長を続けていることが前提であり、著しい格差が存在する下では、経済成長の低下は、即座に困難をもたらすとされる。
 例えば7%以上の成長が中国の安定の必須条件といわれることもあるようだ。


 こうした中で、 各種の耐久消費財の普及率が順次高くなってきている。
 自動車の普及も見え始めている。
 中国の経済構造として内需主導への転換の必要性がいわれるが、一方で、消費の拡大がもたらす、エネルギ、食糧、環境等々の多様な課題への対応が必要となっている。



 高い経済成長の下で、 エネルギー消費も急拡大している。
 国内のエネルギー資源としては、石炭が相当程度あるがその採掘での安全確保や陸上輸送が大きな課題となっており、石炭のみへの依存は困難である。石油については、国内には少なく、国内での油田開発とともに、世界各国からの輸入の確保に奔走している。
 また、地球環境負荷への課題については、中国自体の人口当たり炭素排出量はまで低水準あるが、人口規模が大きく、今後、どのように世界と共生していくかについては、中国やインドとともに国際社会全体の困難な課題となって現れている。

 ちなみに、2005年の石油消費量は前年比0.5%減となっているとのことである(中国国家統計局情報、日本経済新聞2006年1月27日記事による)。


 その他、水や環境汚染など各種の課題が山積しているが、この分野は、マスコミ等による報道で様子がある程度分かるが、実態をマクロ統計で捉えることは、難しい

 生活水準の向上とともに食生活も変化し、肉食が増加することによって、耕地・牧地の潜在的需要が拡大していく。
 しかし、経済成長の中で、都市的利用の土地需要が急速に拡大し、現実には、 農地の転用が急速に進められている。
 中国では、1990年代に食糧生産の自給が達成されたとされているが、今後は、需給バランスが再び崩れていくものと予想され、それなりの経済力を背景に世界の食糧市場に需要者として大きく現れてくるものと予想される。
 現在、世界の食糧の二大生産地として中国とアメリカが挙げられるが、一方のアメリカも生産が不安定化しており、これまでは在庫調整比較的安定した食糧輸出を実現しているが、今後の動向に大きな懸念がある。
 なお、日本の食糧安全保障の問題も同様の位置にあることはいうまでもない。


(統計データ)

 参考;2002年1月メモ

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(Jan.27,2006.)