第2章 環境制約への協調した対応
第1節 環境制約の課題

2.食糧

要約
 世界の穀物の主要生産国である、アメリカ、中国の生産体制は脆弱な面があり、異常気象等により、年によっては相当程度の不足をきたす可能性も否定できない。
 こうした中で、自給率の低い日本・韓国は、どのように振舞っていけばよいか、その危機管理のあり方が問われ続けている。

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 FAOの見通しによれば、適切な配分の課題はあるが、今後の世界の食糧生産は需要を満たしていくことができるとされている。
 しかし、人口増加とともに、地球温暖化等により予想される生産の一層の不安定化から、危険な状態にあるといわれることも多い。
 世界の食糧需給に関しては、このような問題を含め、多様な構造的課題を抱えている。

 


 東アジア(中国、韓国、日本)に即し、現段階での食糧需給状況を言えば、中国の生産は自給水準にあり、日本韓国は、次第に自給率を低下させ、多くを輸入に頼っている。
 こうした体制にも多くの課題があり、以下では、3国の抱える問題点について、包括的な枠組みを提示する。


需要動向

 中国の食糧需要については、まず、人口増加とともに漸増していくことが予想される。
 さらに、現在の消費水準については、国全体として飢餓水準からは脱しているが、所得水準の向上とともに食肉消費が増加し、この生産に必要な飼料用穀物需要の急拡大が予想される。

 なお、中国では、2000年以降、穀物の作付面積が大きく減少し始めている。


 ちなみに、世界各国の所得水準向上と食肉消費拡大の一般的関連性から見る限り、この需要への国内的な対応は極めて困難といえよう。


 一方、日本の食糧消費については、過剰気味の水準に至っており、今後の人口減少とあいまって、需要総量は、停滞ないしは減少傾向で推移していこう。
 また、韓国の食肉消費については、なお若干の増加の余地があるものと見られる。



供給動向

 中国は、1980年代、'90年代を通じて、ソ連に次ぐ小麦輸入国であったが、その生産の拡大から、現在は概ね自給水準に至っている。

 しかし生活水準の向上に伴う食糧消費内容の転換により、肉類や飼料作物の輸入の急拡大が始まっている(Aug.08,2006.Add.)。

 ただし土地生産性の向上については、小麦、米で限界に近いと見られる。またトウモロコシについては、作付けが限界的な耕地へと拡大するなかで、生産性の向上が滞っているものと見られる。


 さらに、華南を中心に都市化が進み、耕地の減少も見られる。


 また、華北・東北では、水不足の影響が一層深刻になりつつある。

 一方、日本・韓国については、都市的利用や放棄による耕地の壊廃が進み、耕作総面積が急速に減少している。

 なお、世界の他国でも耕地面積の減少は見られるが、日本・韓国の減少は特に急速である。また、西ヨーロッパ諸国等については、1990年代後半に減少傾向が転換した様子も見られる。



 この結果、食料自給率の低下が続き、輸入依存を高めている。


 世界の穀物貿易の中では、両国が大きなシェアを占めており、世界の食糧供給の危機が懸念される中で脆弱な体制にあると言えよう。特に、アメリカが穀物輸主の太宗を占めており、アメリカ自体の生産体勢に脆弱な面があることを十分に留意しておく必要がある。

 さらに、東南アジア諸国や中国がその経済発展の過程で日本・韓国と同じ轍を踏む懸念もあるとされている。




課題

 中国においては、需要面では、食肉消費への対応が困難な課題である。これは、食肉あるいは飼料の輸入拡大が避けられないであろう。
 さらに生産面では、農地の人為的壊廃を厳しく抑制していくことも懸案である。また、北部での灌漑事業も重要事業として取り組まれている。

 一方、日本・韓国については、食料の確保に関連して危機管理の姿勢が欠けている懸念がある。食糧の安定確保を念頭に置いた、農地保全、農業維持のシナリオの展開が求められよう。

 なお朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)についても厳しい食糧事情にあるが、情報が乏しく実態は不明確である。

参考文献
FAO;"World agriculture:towards 2015/2030"
情報源

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(Mar.29,2002.)