減少し続ける日本・韓国の耕地
−−世界の農地の状況−−

世界の農地面積

 世界各国の農地面積を比較すると、中国が世界全体の10%強を占め、次いでオーストラリア、アメリカが10%弱で並んでいる。続いて、ブラジルが5%程度、さらにロシア、カザフスタン等となる。
 ただし、農地の実態は、放牧がなされる広大な用地から、灌漑され集約的農業がなされる用地まで様々なものがあり、単なる農用地全体面積の比較の意味は少ない。


 このため、耕地(樹園地等(多年生作物地)を含む)に限れば、世界全体で農地全体の約30%であり、アメリカ、インド、中国、ロシアが10%程度で順に並ぶ。
 農地全体での割合に比して、オーストラリアが特に小さくなり、インドが大きくなっている。またカナダがオーストラリアと並ぶ位置に現れている。


 さらに灌漑された農地のみについては、世界全体で耕地の18%、農地全体の5.5%にとどまる。
 この面積では、中国、インドが特に大きく、これに次ぐアメリカとパキスタンがほぼ並び、バングラデシュや日本も1%前後あるなど、世界の人口大国が並んでくる。

 以上のことから、人口包容力としては灌漑農地面積が、潜在的な可能性まで込めれば耕地面積が、農業生産力の相互比較として適切であろう。


 世界各国それぞれの農地について、灌漑地、その他の耕地、その他の農地に分けて見ると、灌漑地の比率は総じて低い。
 ただし、東、東南、南アジアの国々については、一般に灌漑地の比率が高く、非耕作農地の比率が低い。
 これは、気候的背景もあり、食生活では植物性食物への依存が高く、動物性食物への依存が低いことを語っている。
 このアジア地域の中では、モンゴルとともに中国が例外的な位置にある。中国については内陸部の広大な土地に遊牧民等を擁しているためである。



耕地面積の推移

 耕地面積の経年変化を東南アジア、東アジアについ見ると、まず極めて大幅に変化した地域としては、シンガポールがその経済開発に伴う都市化の中で、1980年代後半まで大幅な減少を続けたことが目立つ。
 また、カンボジアについては、'70年代、'80年代前半を通じて低い水準にあったが、'80年代後半には回復し安定して推移している。
 マレーシアについては、'60年代、'70年代を通じて漸増していたが、'80年代に入って急増し始め、'90年代半ば以降は安定して推移している。
 一方、中国については、'60年代、'70年代を通じて漸減していたが、'80年代に入って急増し、'80年代半ば以降は漸増を続けている。


 上述4か国のような極端な変化ではないが、日本については、1960年代後半以降、年々着実な減少を続けている。
 また、韓国については、'60年代半ばの増加以降は着実な減少を続け、特に'90年代半ばで大幅な減少を見せている。
 タイについては、従来増加を続けていたが、'90年前後に横ばいに転じ、さらに'90年代半ば以降は急速な減少となっている。

 世界の食料危機が予想される時代において、日本や韓国さらにはタイの状況から、東アジア・東南アジアには、農地の転換を抑制(土地利用を制御)する政治的体制(民主主義的政治運営の実質的な体制)ができていないとする見方もある。


 ちなみに西ヨーロッパ諸国等の耕地面積の推移については、やはりイギリスを始めとして縮小している国もあるが、'90年代半ば以降、縮小がとまったようにも見受けられる。この点については、さらに施策展開等を含めて実態を精査する必要があろう。



(統計データ)
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(Apr.26,2002.)