都市化で崩壊するアジア農業
−−高い輸入依存の原因−−
日本、韓国では、都市化が進む中で、年々
広大な耕地の壊廃
が続いており、農業が次第に衰退してきている。この結果、食糧の輸入依存度が著しく高まっている。
こうした動向は、決して先進国共通の現象ではない。西ヨーロッパ諸国では、農業が維持され、フランス、西ドイツは、穀類の純輸出国にさえなっている。
さらに、アメリカ・カナダ・オーストラリアについては、広大な国土の中で都市との競合は少なく、世界の穀倉となっている。
仮に土地生産性とでもいうべきものを都市的利用と農業利用で比較すれば、明らかに都市的利用が勝り、そのまま市場原理に委ねておけば、都市的利用による農地の蚕食は免れないであろう。
また、労働生産性(所得形成力)においても、一般には農業より都市での産業が勝りがちであり、農業就業者の漸減も避け難い。
アメリカ等の新大陸での事情はともかく、日本・韓国と西ヨーロッパの違いはなぜ生じたのか。
西ヨーロッパの場合、土地は限られた資源として、その利用を厳格に管理してきた。また、農業が零細農家の生業にとどまらず、適切な支援制度等もあり、中核農家が担う産業として育ってきた。
日本・韓国の場合、土地利用の管理の必要性は認識され、そのための制度も準備されているが、
管理していくべきという意識が地域住民に乏しく
、形骸化している面がある。土地が売買可能な資産とみなされ、農地維持の必要性が住民の強い共通認識とならないまま都市的利用に委ねられていく結果となっている。この点については、民主主義の未熟さとする見方もある。
一方、土地改革により農地が細分され多くの農家の所有となり、また稲作農業は労働生産性を著しく高め、高い経済成長の中で兼業経営を許容し、結果として
農業の企業的経営の成長を促さなかった
。また次第に低下する食糧自給率についても、それを支える穀物市場があり、アメリカ等からの購入が可能であった。
以上のような構造は、東南アジア諸国にも共通しているとされ、今後の動向が懸念されている。
また、中国についても、同様の轍を踏む可能性があるとされる。実際、華南沿海地域の農地の壊廃が著しく進んでいる。
また、今後、世界の人口増加と地球温暖化等による気象変動の下で、食糧問題が一層厳しくなっていくことが予想され、この危機への対応は、日本・韓国にとっても大きな課題である。
参考文献等
笛木昭著「経済発展と食料・農業・土地−−欧米、アジア・日本の比較研究−−」農林統計協会2000年
(統計データ)
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(Apr.03,2002)