第2章 環境制約への協調した対応
第1節 環境制約の課題

4.環境汚染

要約
 地球温暖化抑制のための危機管理として、炭酸ガスの排出を抑制しなければならない。
 しかし、東アジアの国々は、そのための体制を準備していない。また、中国等の発展途上国にあっては、人口当たりの排出量は相対的に低水準にあり、今後の排出拡大も許容されると考えられている。

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(1)地球温暖化 −−炭酸ガスの排出−−

 人々の生産・消費活動による大量の炭酸ガスの排出により、地球の温暖化がもたらされ、既に各種の自然災害が増加し始めている。
 これは全地球的な課題であり、東アジアなどといった地域毎にどう取り組むかといったものとは異なる。
 しかし、技術的な側面を始め、様々な協力の可能性があり、京都議定書でも共同達成(バブル)の枠組みがあるなど、地域なりの対応も考えられよう。
 さらに、人類にとっての最も大きな環境問題を素通りしておくこともできない。

 現在、世界各国の炭酸ガスの排出は、大きく変動してきている。
 発展途上国の今後の一層の経済開発によって、排出総量が爆発的に増加する可能性がある。特に、中国の経済成長に伴う排出の拡大は世界の総排出量に大きな影響をもたらすとことは間違いない。
 しかし、既に先進諸国は発展途上国を大きく上回る炭酸ガスの排出を続けており、先進国による抑制こそ重要な課題となっている。
 このため、排出量抑制のための協定として京都議定書の発効に向けて努力が重ねられてきているが、アメリカ、ロシアの不参加のまま発効されないである。(Sep.04,2002.ヨハネスブルク・サミット)

(統計データ)




(2)酸性雨 −−二酸化硫黄、二酸化窒素等の排出−−

 酸性雨とは、直接的には、人間の生産・消費活動により排出される硫黄酸化物や窒素酸化物が原因で、酸性化した降雨のことを言う。しかし、雨水によらず、空中に混ざる酸化物が直接、植物、土壌等々に与える影響も大きく、通常は、これらを広く含めて検討される。また、主として海を起原とする自然界での酸性物質の混入もあり、これらは背景として除外して考えられる必要がある。
 酸性物質の拡散は、長距離に及び、まさしく越境性大気汚染として、地域なりに共同して対応していくことが求められる。
 歴史的には、ヨーロッパにおいて、森林や湖沼・海洋に影響を及ぼしている大気汚染があり、長期間にわたり国際的協調を重ねてきている。東アジアにおいての対応を検討するにあたっても、ヨーロッパの経験は参考となることが多いであろう。
 しかし、東アジア地域においては、それぞれの国家の体制から見て、即座に協調体制を組んでいくことは困難である。
 また、汚染物質の発生と大気の酸性化の因果を地域的な視野を含めて明確に把握することも困難であり、当面は、モニタリング(監視)体制を充実し、情報を蓄積していく段階にある。
 このため東アジア酸性雨モニタリングネットワークの整備が進められている。

 ただし、酸性物質による大気汚染は、炭酸ガスの排出とは異なり、国境を超えるものばかりが問題ではなく、むしろ発生源周辺地域の環境悪化が大きな課題である。このため、発生地域自らが主体的に対処していく動機は十分にあり、実際に対応されてきている。
 さらには、中国では、石炭による住居の暖房で、室内汚染の問題も大きく、これについては、所得水準の向上とともに急速に転換が進むと予想される。

 なお、環境汚染問題は、個々には局所的な問題であることが多く、マクロ統計では、把握し難い面がある。
(統計データ)


(3)海洋汚染

 海洋汚染についても酸性雨と同様に、国際間の協調の課題がある。
 特に、国連環境計画(UNEP)が、1974年に閉鎖性水域の海洋環境保全と資源管理を目的として、地域海行動計画の策定を各国に提唱しており、これに対して日本、韓国、中国、ロシアが参加し、日本海及び黄海を対象とした北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP:Northwest Pacific Action Plan)が進められている。
 なお、この本部事務局(RCU:Regional Coordinating Unit)が富山と釜山に共同設置されている。
 本項は、今後さらに内容を盛り込む予定である。
 

(Nov.14.2001.)




参考文献等
安成哲三、米本昌平編「地球環境とアジア」岩波講座地球環境学(2)1999年
内藤正明、加藤三郎編「持続可能な社会システム」岩波講座地球環境学(10)1998年
IPCC第3作業部会編、天野明弘・西岡秀三監訳「地球温暖化の経済・政策学」中央法規出版(株)1997年
The World Bank "Clear Water,Blue Skies--China 2020--China's Environment in the New Century"1997年
The World Bank "China Air,Land,and Water--Environmetal Priorities for a New Millennium--"2001
環境省編「環境白書」各年
情報源
UNEP



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