食糧自給率
−−脆弱な日本・韓国の食糧安保−−

 穀物自給率として、人口1千万人以上の74ヶ国について、FAOの統計により、2001年当該国穀物供給総重量中の国内生産比率を見る。

 日本の穀物自給率は24%と極端に低い。また人口規模も大きく、諸外国からの膨大な輸入によって生存を維持している。
 さらに、韓国の穀物自給率は32%であり、世界の中では、やはり人口が大きく自給率の低い国である。
 中国については、95%の自給率であったが、人口規模が大きく、不足の絶対量について単純に計算すれば日本に次ぐものとなる。

(統計データ)
(May.27,2004.Rev.)



 この結果、世界の穀物貿易の中で、日本の輸入は全体の13%(純輸入合計中の比率)を占めており世界最大である。
 さらに、韓国も5%を占めており、日本と並んで、世界の穀物輸入大国となっている。

 世界の食糧需給の困難化が見込まれる中では、こうした輸入大国は、食糧不足緊急時の緩衝役として危険負担していることとなり、極めて脆弱な体質といえよう。資金力によって、ある程度の購入を継続できるであろうが、それには様々な摩擦が予想される。


 一方、同様の統計で食肉の自給率について見ても、日本の自給率は、52.5%であり、ギリシアに次いで低い。


 世界の食肉貿易の中では、日本の輸入が21%で極めて大きな位置を占めている。



自由貿易と農業

WTOにおける農業の位置付け
(ウルグアイラウンド農業協定)

○市場アクセス
非関税障壁を撤廃し、例外無き関税化。
一定量までは関税を低く設定(関税割り当て)。
一定量の輸入(ミニマムアクセスの導入)。
特別の場合は予防措置(セーフガード)。

○国内支持
直接に農業生産を刺激するような政策(「黄」の政策)は削減。
その他の政策(「緑」の政策)は許容。
黄色と緑のグレーゾーン(「青」の政策)は今後協議。

○輸出補助金
原則として一律に削減。
 WTOのもとでは、農産物も自由貿易の枠組みに組み込まれつつある。
 これに対して、農林業等の第一次産業が自由貿易に馴染むかといった議論がある。
 国家に主権がある国際関係の中で、異常気象等による食糧の絶対的不足が生じた場合、その確保が保障されない制度は、危険の大きい制度であることは間違いない。

 しかし、日本がアメリカより農業の生産性が低いことは自明であるとか、農業は食糧生産以外の重要な機能を持つとして、自由貿易に反対することには留保が必要だろう。
 産業としての農業の形成に殆ど努力していないもとでは、こうした議論に説得力はない。また、保水、景観等々の機能は、雑木林の整備等で一層効果的に代替できる。



食糧安全保障

 食糧の安全保障については、各国なりの危機管理シナリオを明確に描き、それに基づく着実な備えを構築しておく必要がある。
 特に、日本については、生産手段の確保として、土地利用制度の運用にけじめをつけ、農地を保全していく必要があろう。現在の農地保全の議論は、農地災害や中山間地農地の維持に関するものが多いが、むしろ平野部優良農地の都市的用途への転換の抑制こそ重大な課題であろう。
 また、その農地を有効に活用し、企業的生産を形成組織していくことが急務であろう。
 現状では、兼業によって農業が維持されているが、企業的経営をする者にしっかりと委ね、それでも経営困難な場合は、直接所得補償(デカップリング)を行うこともできよう。WTOでは、デカップリングは、緑の政策に位置付けられ、許容されている。
 いずれにしろ、日本の食糧の安全保障をいかに確実に、かつ安価に確保できるか知恵を絞り、覚悟をする必要がある。

(統計データ)
情報源
FAO統計
関連項目に戻る

(Dec.11,2001.)