日本海学調査研究委託事業

環日本海の玉文化の始源と展開 5.「ベトナムにおける古代玉器製作と文化」


NguyenKimDung
ベトナム考古学研究所
 

 ベトナムにおける玉製品については、古代Trang Kenhの人々の手によると見られる軟玉や翡翠についてのPhanの小論(l970:l39‐l40)が嚆矢となった。以降、古代ベトナムの人々が軟玉と翡翠を探し出し、用いて、高価値の玉製品に加工して自給的に用いたり地域交易していたことは、さまざまな証拠によって確認されている。しかしながら、こうした玉製品は、なにもTrang Kenh時代(3500年前)にのみさかのぼるのではなく、新石器時代に属するHaLong文化(北東ベトナム沿海部)やBan Tro文化(中央ベトナム沿海部)、さらには北部ベトナム山岳地帯の新石器時代後期に属するさまざまな遺跡にも同時に見られる。
 玉器製作のベトナム全土ヘの広がりでみると、前史時代ベトナムには、北ベトナムデルタ、中央ベトナムの北部地域、南ベトナムの東部地域が主だった文化の中心地として見られるが、玉器製作は新石器時代後期に北ベトナムで起こり、青銅器時代初期に交易やその他のチャンネルを通じて中央ベトナムの北部地域ヘと技術的な伝播をみたことで、国全体でもっとも盛んな工芸品となった。そして、青銅器時代後期には中央およぴ南ベトナムにも広まった。
 (『東亜玉器』香港中文大学中国考古研究中心1998年:藤田哲史抄訳)