日本海学調査研究委託事業

環日本海の玉文化の始源と展開 6.「玦状耳飾の製作遺跡-富山県立山町天林南遺跡」


故 林寺厳州
富山考古学会会員藤田富士夫
敬和学園大学
人文社会科学研究所客員研究員

1.環状型玦状耳飾(始源Ⅰ期)

 日本列島の玦状耳飾は、縄文早期末葉に出現し、大孔の「環状型玦状耳飾」が特徴的である。分布は東北(北海道)から九州地域にまで及んでいる。滋賀県の赤野井湾遺跡や京都府の浦人造跡では、アカホヤ火山灰(約6500年前降下)層下や層中から出土している。他の遺跡のC14年代などから玦状耳飾の出現は7000年前頃にさかのぼる可能性がある。
 一方、九州地域では「環状型」とは異なる小孔タイプの環状型玦状耳飾がアカホヤ火山灰層下から出土する(7.の上田耕、廣田晶子氏発表)。
 大孔の環状型が本州タイプ、小孔の環状型(一部、「影響モデル」として作られた別タイプも含まれる)が九州タイプを示している。

2.製作遺跡の盛行(始源Ⅱ期)

 縄文早期末葉~前期初頭の富山湾沿岸地域には、玦状耳飾の製作遺跡が集中出現する。
 その種類には、「大孔環状型」の本州タイプと「小孔環状型」の九州タイプとが共存しており、前代から継続する文化伝統によって出現したことを示している。それらの代表的遺跡に、富山県極楽寺遺跡や石川県三引遺跡がある。発表では、近年、豊富な資料が確認できた富山県立山町の天林南遺跡の事例を検討してみたい。
 (※天林南遺跡の資料は林寺厳州氏が表面採集したものである。二人で報告の準備を進めてきたが、10月18日に病のため逝去された。合掌……藤田付記)