日本海学調査研究委託事業

環日本海の玉文化の始源と展開 9.「玦状耳飾における着装法の検討」


伊東美奈子
新潟県黒川村文化財調査補助員

1.問題の所在

・日本における玦状耳飾の着装法=「耳飾り」
問題点
①土壙墓内からの出土位置は耳部「辺り」…曖昧な判断
②2次利用として、首飾りなどにも利用した可能性‥・土壙墓内では看過
・着装一の数値化→出土位置における着装法の見直し、多様な着装法の可能性

2.研究史

・「耳飾り説」の論拠
①人骨の耳部辺りからの出土例…国府遺跡、津雲貝塚
②土壙墓における耳部辺りに推定される箇所からの出土例…上浜田、桑野遺跡
③フィリピンのイゴロツト等の民族事例…玦状耳飾の具体的な着装例
・出土位置(①②)…従来「耳飾り」出土→耳部以外の位置から出土する例=本来耳飾り
・形態…小型品、欠損品、補修拙こよる2次利用=耳飾り以外の着装法の可能性
     耳部の位置から出土→耳飾
     耳飾以外の機能(首飾り)→ X 耳飾り以外の出土位置

3.着装法の数値化へのプロセス

・前提条件・・・原位置論、数値の非絶対性、成人女性が想定モデル、合葬は想定しない。
        時期・地域性を考慮せず、埋葬品or(日常的)着装品の判断




B1)埋葬者…成人女性/身長I50cm/装身具は上半身に着装
B2)埋葬パターン・・〔足の形〕 屈葬(70X50cm~)/伸展葬(150×50cm~)
          〔顔の向き〕上・斜め/横
          〔胴の向き〕上/横
B3)着装位置の推定モデル
着装推定位置…耳飾り、垂飾り〔首・胸〕、腕飾り、(副葬品)


4.土壙墓内出土例と着装法の関係


5.まとめ

・装着法の数値化
  耳部「辺り」「周辺」→出土位置を明確化
  多様な装着法の積極的認識→土壙墓内、補修孔との関係
  1装身具=(X1着装法)多種類の装着法→装着者、装着者間の差異(出自、性差、・・)
・今後の課題・・・前提条件、地域・時期差、1遺跡内検討、年齢差
         素材、形態、個数、補修孔等、 *大陸との関係

<主な引用・参考文献>
上田耕 (1981)「九州における玦状耳飾について」『鹿児島考古』15
岡村道雄(1990)「埋葬状態からみた縄文人のアクセサリー」『月刊文化』326
川崎保(1996)「<の>字状石製品と倉輪・松原型装身具セットについて」『長野県の考古学』
西口陽一(1983)「耳飾りからみた性別」『季刊考古学』26
藤田富士夫(1983)「玦状耳飾の編年に関する-試論」『北陸の考古学』26
     (1992)『玉とヒスイ-環日本海の交流をめぐって-』同朋舎出版