日本海学グループ支援事業

2005年度 「環・日本海国際フォーラム開催事業」


2005年度 日本海学研究グループ支援事業

講師 NPO法人「環・日本海」 理事
稲村 修

第1回シーサイドフェスタ IN 氷見
「循環と共生~魚と海のお話~」内容

 「氷見ブリ」に代表されるように、氷見市は漁業の盛んな街として知られている。
 氷見の海岸に立つと、眼前に広がるのは富山湾で、能登半島に抱かれるような形の湾であることが分かる。海面の様子からうかがい知ることはできないが、富山湾は最大水深が1,250mもある深い湾で、駿河湾、相模湾と並んで日本三大深湾の一つとされる。しかし、太平洋側の駿河湾、相模湾と異なり、富山湾は日本海に位置している。  「日本海学の逆さ地図」に見られるように、日本海はアジア大陸と日本列島に囲まれたお盆のような海である。最大水深は3,700mほどであるが、外海と繋がるのは水深が150mより浅い対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡、間宮海峡だけである。
 日本海に流れ込むのは黒潮から分かれた対馬暖流で、九州と朝鮮半島の間にある平均水深が約100mという浅い対馬海峡を通って日本海の表層を北上する。
 一方で、日本海の水深300m付近より深いところには、「日本海固有水」と呼ばれる、清浄で、冷たく、栄養塩に富む水塊がある。つまり、大雑把な見方をすれば、日本海は水深300m付近を境として、二つの水環境に分けられる。この日本海の特徴は富山湾にも当てはまり、表層には対馬暖流水が流れ込み、水深300m以深の日本海固有水は「富山湾海洋深層水」と銘打って様々な分野で利用されている。
 以上のような富山湾の環境は、そこに棲む魚介類に大きな影響を与えており、表層には暖流系の回遊魚が多く見られる一方で、深層には冷水系の底生生物が生息する。また、その中間的な環境に生息するものや、季節や成長に伴って移動する魚介類など、色々な生物が生息している。

 講演では、表層から深層に棲む魚介類を紹介するとともに、平成8年に選定された「富山県のさかな」である「ブリ・ホタルイカ・シロエビ」の生活史について、「循環と共生」の観点を加えて解説した。
 特に大陸棚が発達している氷見周辺の海は、暖流系の回遊魚や沿岸の根魚が多く漁獲されるのが特徴である。中でも「氷見鰯」として有名なウルメイワシの若魚(地方名:メンチョ)やメバル(ハチメ)、キジハタ(ヨネズ、ナメラ)、クロダイ(カワダイ)、マンボウ(クイサメ)などが氷見の代表的な魚類といえる。