日本海学グループ支援事業

2006年度 「中国内陸部におけるヨード欠乏症対策支援のための廃棄昆布資源の活用に関する研究」


2006年度 日本海学研究グループ支援事業

葭田 隆治

1.研究目的

富山県名産である昆布巻カマボコの製造過程で出る高級昆布の切れ端は用途が極めて少なく、廃棄物として処理される場合が多い。この昆布の切れ端を乾燥し微 粉化すれば、新たな資源として活用できる可能性が高くなる。また、昆布は、海水中のヨードを約100万倍も濃縮し生体100g中に0.3~0.5gにもな る。ヨード含有量は食品中で最も豊富である。
 一方、中国の内陸部では、ヨード欠乏症で悩む人々も多いことも指摘されている。そこで、本研究では、富山県内の廃棄昆布の有効利用をはかるため、昆布を 乾燥し微粉化し、ヨードが豊富な「ギョーザ」や「かきやま」を製造しようとした。また、「ギョーザ」におけるヨード含有量や活性酸素消去能についても測定 した。

2.材料と方法

 昆布巻カマボコの切れ端は、富山蒲鉾㈱から吸水物で10㎏恵与された。直ちに、大型竹ザルで3日間風乾し、仕上げは85℃で24時間熱風乾燥した。乾燥 昆布は、6枚刃ミキサーで微粉化した。この微粉は、32メッシュフルイで篩い分けし、アッパー部分は粗粉末に、アンダー部分は微粉末とした。「ギョーザ」 と「かきやま」には、主としてこの粗粉末を添加した。
 なお、昆布粗粉末は、以下の通り「ギョーザの皮」と「かきやま」に添加した。

①ギョーザの皮(30個分

対照区(昆布粗 粉末無添加) 昆布添加区
強力粉    100g 強力粉   100g
薄力粉    100g 薄力粉   100g
水      100ml 水     110 ml
塩       1g 昆布粗粉末  10g

 

②かきやま
 もち米1㎏に対し、重量比で1%になるよう昆布粗粉末を加え、「かきやま」を製造した。
分析は、昆布粗粉末を添加ならびに無添加ギョーザにおけるDPPHラジカル消去能を測定した。

3.結果と考察

①昆布粉末の製造
 蒲鉾工場で廃棄される昆布切れ端(吸水物)は、風乾と熱風乾燥を組み合せ、6枚刃ミキサーで微粉化した。その結果、微粉化は容易で、しかもメッシュフル イで粗粉末と微粉末に分けることができた(写真1)。この事により、 廃棄される昆布は再資源として活用できることが可能になった。


 

②ギョーザ
 試作したギョーザ1個当り0.33gの昆布粗粉末が含有し、ヨード量は0.43㎎となった(写真2)。一般に、日本における成人1日の必要量は 150μg~3,000μgと幅があるので、試作ギョーザでヨードを補うとすれば5~6個食すれば十分であることになる。ヨードの許容上限摂取量は 3,000μgとなっている。
 また、ギョーザにおけるDPPHラジカル消去能を測定し、活性程度を没食子酸相当量で表示した(第1表)。ギョーザ試料液は、水1ml当り0.5gを加 えホモジナイズした。このホモジナイズした試料液を用いDPPHラジカル消去能を測定した。なお、EC50は、ラジカル消去率が50%を示すのに必要な試 料量を示している。その結果、ラジカル消去率は、希釈倍率1の場合、対照区に比べて粗粉末昆布入りギョーザ区では約28%消去率が高くなった。また、 EC50は、昆布入りギョーザ区は対照区に比べ約32%低い値を示した。この事は、粗粉末昆布入りギョーザを食すれば、ヨードの供給ばかりでなく活性酸素 の消去にも寄与することを示唆している。


 


 

③かきやま
 粗粉末昆布入り「かきやま」は、写真3に示した。試食の効果、嗜好 性もよく市販が可能との評価を受けた。


 

 以上、蒲鉾工場から破棄される昆布切れ端は、粉末化することで再資源化をはかれることが明らかになった。また、この粗粉末は、ギョーザや「かきやま」に 添加することで、ヨード補給に大きく寄与することも示唆された。今後、中国人民による嗜好性について調査し、ヨード欠乏の症状改善に貢献させたい。