日本海学グループ支援事業
2006年度 助成概要と研究成果
平成18年度 日本海学研究グループ支援事業の概要とその研究成果を公開します。
1.応募件数及び助成決定件数
応募総数 15件(新規事業 12件 継続事業 3件)
助成決定件数 11件(新規事業 9件 継続事業 2件)
2.1件当たりの助成金額
概ね20万円から50万円
3.助成を決定した事業の申請者及び事業の名称
申請者 | 事業の名称 | 研究内容 | ||
継続 |
和船建造技術を後世に伝える会 代表 番匠 光昭 |
和船とその建造技術保存・研究事業 | 概要 | 詳細 |
板木 拓也 | 完新世(過去1万2千年間)における日本海の深層水循環の変動に関する研究 | 概要 | 詳細 | |
新規 |
日本海北前ロマン回廊構想実行委員会 会長 馬場 是久 |
北前ゆかりの地手作りマップ作成事業(伏木地区) | 概要 | 詳細 |
天野 和孝 | 本州日本海沿岸地域における新生代貝化石群と古環境 | 概要 | 詳細 | |
楠井 隆史 | 二枚貝を用いた日本海の海洋モニタリング手法の開発と検証 | 概要 | 詳細 | |
富山伝統的食文化研究会 会長 田中 晋 |
魚食文化調査研究事業 | 概要 | 詳細 | |
高成 玲子 | 富山県お雇外国人教師C.L.ブラウネルの研究 | 概要 | 詳細 | |
金沢大学大学院自然科学研究科 代表 田崎 和江 |
シンポジウム"ナホトカ号重油流出事故から10年「我々は何を学んだか?」" | 概要 | 詳細 | |
野口 順子 | 北東アジアの植物の適応と進化、ワスレグサ属植物からみる | 概要 | 詳細 | |
葭田 隆治 | 中国内陸部におけるヨード欠乏症対策支援のための廃棄昆布資源の活用に関する研究 | 概要 | 詳細 | |
大塚 和義 | 環日本海における先史時代の岩画の研究 | 概要 | 詳細 |
和船建造技術を後世に伝える会 代表 番匠光昭 氏
廃絶が危惧される和船建造技術を後世に伝承するため、氷見市内に残存する木造船の状況把握、収集、記録保存するとともに、和船の建造技術の資料を収集し記録する。
完新世(過去1万2千年間)における日本海の深層水循環の変動に関する研究
板木拓也 氏
未だ十分に解明されていない1万2千年前以降の日本海の深海環境を堆積物中のプランクトン化石(放散虫)から復元する。
日本海北前ロマン回廊構想実行委員会会長 馬場 是久 氏
かつて北前船の基地・寄港地として栄えた県内各地の港町に残る、北前船ゆかりの歴史・文化を伝える遺産は、近年急速に失われつつある。これらの港町に暮らす地域の住民に、地図作りを通してその真価を再認識してもらい、これらの遺産の保全と地域の再生につなげる。
天野 和孝 氏
富山市八尾町、新潟県佐渡島、秋田県秋田市周辺より産出する貝化石を検討し、新生代後半における日本海の古環境変動と貝類の分布や絶滅の関係を明らかにする。
楠井 隆史 氏
人工化学物質などによる日本海の海洋汚染を防ぐために、ムラサキイガイを用いた沿岸環境モニタリング手法を開発し、富山湾での実証実験を実施し、環日本海諸国と共同で用いる標準手法として確立することを目的とする。
富山伝統的食文化研究会 会長 田中 晋 氏
中近世の富山県において発達した伝統食文化を調査研究し、その記録保存のための出版や電子データの作成を目的とする。特に魚食文化を中心的な対象とし、富山県内の調査と日本海沿岸各県の資料収集にもつとめる。最終的にレシピの作成と復元を試みる。
高成 玲子 氏
富山県初のお雇外国人C.L.ブラウネルの活動を調査し、その著書『日本の心』の翻訳を通して富山における英学の発達を明らかにするとともに、富山の英学が日本全体あるいは当時の世界情勢とどのようなかかわりがあるのかを検証する。
シンポジウム"ナホトカ号重油流出事故から10年「我々は何を学んだか?」"
金沢大学大学院自然科学研究代表 田崎 和江 氏
ロシア船籍タンカー「ナホトカ号」の大規模重油流出事故(「ナホトカ号事件」)に直面した地域住民・自治体及び科学者・ボランティアが学んだことを社会科学と自然科学の両視点から振り返り、「ナホトカ号事件」の教訓を未来に残す。
野口 順子 氏
ワスレグサ属植物が起源した地域と推察されるシベリア極東地域において、この属の植物の適応進化に関連すると考えられる開花習性特性、花の形質、その他の外部形質、生息地に関して野外調査を行い、この属の植物の原始形質状態と、北東アジアにおける植物の変遷史を推察する。
中国内陸部におけるヨード欠乏症対策支援のための廃棄昆布資源の活用に関する研究
葭田 隆治 氏
富山県名産である昆布巻カマボコの製造過程で出る高級昆布の切れ端は用途が極めて少なく、廃棄物として処理される場合が多い。この昆布資源の有効利用をはかるため、その乾燥微粉末を含有する菓子類を製造し、中国内陸部のヨード欠乏症の軽減に役立てる。
大塚 和義 氏
環日本海沿岸には先史時代の岩に刻んだ人間、獣、魚、家畜、構造物などの多様なモチーフの岩画が多数残っており、日本の弥生時代の銅鐸画や木器に彫刻された画と共通性を持っている。韓国東海岸の川前里及び大谷理の岩画を調査することによって、環日本海の先史時代における交流と生態系の変化を解明する。