日本海学講座
第5回 「化石発掘教室」
2000年度 日本海学講座
2000年10月28日
大沢野町岩木新・神通川右岸
講師 邑本順亮
富山県自然解説員
1.講座の概要
最初に講師の邑本先生から、大沢野町岩木新神通川右岸の川原で採取することのできる貝化石や植物化石等の説明及び岩石ハンマーやタガネ、化石ハンマーなど化石発掘用具の使い方について説明してもらった。その後、各参加者がそれぞれ思い思いの場所で化石発掘を行った。
できるだけ完全な形で化石を掘り出そうと、大人も子供も時間を忘れて夢中になって取り組んだ。限られた時間での活動だったので「もっと時間があれば」との声も聞かれた。
実物の化石や顕微鏡写真などを提示してのわかりやすい説明をしてもらい、どの参加者も遠い昔の日本海の自然環境について関心を高めることができた。
また、家族揃っての参加者が多く、天候にも恵まれて思い出に残るひとときとなったようである。
2.講義内容要旨
・化石とは、地質時代のタイムカプセルであり、地質時代の自然が丸ごと埋まったものである。どんな地層にどのように埋まっていたか、回りのようすをスケッチし、細かな情報も見逃さず、大昔の自然環境を読み取ることが大切である。
・化石は、一度取り出したらその地層から消えていく。むやみに化石を取らず、後の人々に残すよう配慮しなければならない。また、化石の破片も大切に持ち帰って標本として保存する。
・化石には、貝、骨、歯など目に見える大きなもののほかに、珪藻・有孔虫などのプランクトンや花粉などのように目に見えない小さなものもある。それらの小さな化石が地層の中にたくさん保存されていて、当時の自然環境について多くの情報をもたらしてくれる。これらは一般に微化石といわれ、わずかの試料の中に数も種類も極めて多く含まれていることから自然史を考える上で大変重要な役割を果たす。
・化石の名前(学名)は、特徴を示す語、地名、人名などが用いられ、地名や人名はラテン語のきまりに従って語尾が変化する。新種として学会で発表されたら、分類を変える場合など以外は、先に発表されたものに従う。そのとき使われた標本が模式標本として保存される。(和名)は、学名をもとにしてつけられ、カタカナで表記する。
・対岸(神通川左岸)の露頭(崖)に見える地層にもここ(神通川右岸)と同じ化石がある。対岸の化石を含む地層は、八尾町の天然記念物に指定され保護されているので化石の発掘はできない。これらの地層は、上部音川累層といい、同じ時期に水底に堆積したものであり、一続きの地層であった。これが、地殻変動で隆起し傾き、浸食を受けてけずられたものである。