日本海学講座

1998年度 日本海学講座一覧


  日時 場所 講師(敬称略) 概要
「植物観察会」 4月25日 黒部市荒俣海岸
元富山大学教授
長井真隆
→概要
雪国の縄文文化 5月30日 朝日町なないろKAN
金沢美術工芸大学教授
小島俊彰
→概要
富山湾の漁の暮らし 6月13日 魚津埋没林博物館
富山大学講師
漆間元三
→概要
「海の生物教室」 7月25日 日本海交流センター
富山大学教授
小松美英子
→概要
環日本海の遊び 8月8日 富山県教育文化会館研修室 在富韓国、中国、
蒙古、ロシア人の方々
→概要
地球の陸と海の話 11月28日 県民会館
東京工業大学教授
丸山茂徳
→概要
朝鮮司訳院における外国語学と
江戸時代日本における朝鮮語学
12月12日  
富山大学講師
岸田文隆
→概要
韓国料理実習 1月23日  
前富山県国際交流員
李倫珍
→概要
船と気象 2月20日 日本海交流センター
帆船海王丸記念財団
市川義文
→概要


民謡からみた日本海文化 5月9日  
国立歴史民俗博物館名誉教授
小島美子
→概要


雪と日本海文化 11月14日 教育文化会館
作家
高田宏
→概要

1.「植物観察会」

①砂浜にはどんな植物が生育しているだろうか。また、道端の植物と比較してどんな特徴があるだろうか。砂浜の環境とあわせて考えてみよう。
 当日、海岸で観察できた植物==ハマニナガ、ハマヒルガオ、ハマダイコン、ハマハタザオ、ハマエンドウ、ウンラン、カワラヨモギ、ハマボウフウ、コウボウムギなど。
 砂浜に生息する植物の特徴としては、葉が大きく厚いこと、根が深く広範囲にわたること、背丈が低いことなどがあげられる。それは、過酷な砂浜の環境(波・風・砂の移動・塩分・水分の不足)に十分対応できる構造である。

②海岸(海浜)植物の分布は、波打ち際(汀線)から奧の松林にかけて、どのように変化しているのだろうか。砂浜の環境とあわせて調べてみよう。
 砂浜海岸の植生は、海浜の持つ環境要因から、不安定帯、半安定帯、安定帯の3つに分類することが可能です。それぞれの地帯に特定の植物が観察でき、以下のような棲み分けを行っている。
  ・不安定帯 植物生息せず
  ・半安定帯 ハマニナガ、ハマボウフウ、ハマヒルガオ、コウボウムギ、ハマエンドウ、ケカモノハシ、ハマゴウ
  ・安定帯  黒松

③松林と人の関わりについて考えてみよう。

④砂丘をはじめ海岸の砂や礫は、どこから運ばれてきたのだろうか。

⑤海岸の侵食と海岸保全施設について考えてみよう。
  黒部市荒俣海岸は富山県東部地域の海岸の中で、唯一植物の棲み分けが観察される場所である。しかしながら、海岸侵食の影響はこの地域でも例外ではなく、昔と比較して砂浜が後退し、テトラポットなどの離岸堤で、砂浜の維持が図られている。

2.雪国の縄文文化

1.巨大住居趾を掘る
 不動堂遺跡住居巨趾は昭和48年発掘当時、日本最大の住居趾と喧伝された。

2.二号建物の復元

3.青森三内丸山の巨大掘立柱
 三内丸山遺跡には580の竪穴住居趾があり、最大500人の人々が生活していたと推定されている。

4.桜町遺跡の建築材
 建築部材から、渡腮、桟穴、欠込仕口、樋布倉抉仕口等の技法が使用されていることが判明した。

5. 富山市北代遺跡の竪穴住居復元

3.富山湾の漁の暮らし

1.船住まいから陸上がりへ
 漁民の中には、所々方々を漂泊する人々がいた。このような漂海漁民が上陸、定住生活を送るようになり、朝日町宮崎、境などの住居様式に船内の空間分割原理が取り入れられている。

2.海士の移住と海士のくらし

3.魚津のタテモン行事
 国指定の無形民族文化財魚津のタテモンは、全体がピラミッド状であるが、これは諏訪神社に豊漁を祈って供えた贄をあらわしている。また、鉾留、八本の割り竹の枝垂れ、えびすあんどんから成る構造物であり、太陽神を依りつかせ、贄を狙う悪霊を追い払おうとした。

4.座談
 鮑、テングサについて。

4.海の生物教室

 日本海にすむ"マイナー"な仲間達に焦点を当て、実際に生物を手にとって観察し、実験す子供達に海生生物に対する理解を深めてもらう。
講義内容;棘皮動物について、深海の棘皮動物、ヒトデの親と子供、カニとヤドカリ、ミドリイソギンチャクとミズクラゲのポリプ

実験・観察コーナーの内容
(観賞用プール)
(顕微鏡観察);ヤツデヒトデ゙のビピンナリア幼生、チビイトマキヒトデの稚ヒトデ、ミズクラゲ゙のポリプの観察
(実演コーナー);ヤドカリの殻だし実験
(その他の展示)

5.環日本海の遊び

 日本海をはさむ国々の遊びを体験し、お互いの遊び文化の共通性や違いを見つける。
 韓国 四本の棒状さいころを使用した双六ユンノリ
 中国 漢楚の対立になぞらえた将棋
 蒙古 羊のくるぶしの骨を利用したおはじき遊びシャーガイ
 ロシア 盤上遊戯
 など

6.地球の陸と海の話

1.現在の地球の中身
 現在の地球は中心から内核、外核、マントル、地殻の4つの部位から構成されている。プレートテクトニクスは、マントル上部と地殻からなるプレートの動きにより様々な地学現象を説明する理論である。

2.日本海のでき方
 今から2000万年~1500万年前に東アジアの東縁に活発な火山活動があった。上昇したマグマが大陸を分割することにより、日本海が誕生した。

3.日本海が拡大するに到ったきっかけ
 上部マントルと下部マントルとの境界にプレートの溶融した低温物質が滞留しており、それがある時期に下降する(コールドプルーム)。その反動で下部マントルが上部マントルの熱対流に影響し、高温のマントルの上昇流が発生する。その熱によりマグマが発生し、上昇したマグマが大陸を分裂させ、日本海を拡大させた。

7.朝鮮司訳院における外国語学と江戸時代日本における朝鮮語学

 通訳は地位が低く一般に歴史の表舞台に出てくることはないが、時に悪事を働いて史書に名を残す場合もある。清の威をかさにきたグルマフン、朝鮮人捕虜帰還を妨害した康遇聖等がその例である。
Ⅰ. 朝鮮司訳院の外国語学
Ⅱ.江戸時代日本の朝鮮語学

8.韓国料理実習

 韓国の代表的な正月料理をつくり、韓国の味に触れ、日本の正月料理と比較する。
 韓国風雑煮(トックク)
 韓国風ミニお好み焼き(ワンジャジョン)

9.船と気象

1.船の生い立ちと歴史
 丸太を組み合わせた「筏(いかだ)」から風を推進力とした「帆船」、そして全長400メートルに及ぶ大型タンカーや時速100キロで走る「スーパーテクノライナー」

2.船の構造

3.気象観測
 気圧配置から風の方向を読みとる方法や波の激しい場所の予測のし方、風の進行方向に対する帆の角度の調節法など

4.珍しい自然現象
 セントエルモの火(St. Elmo's Fire)、グリーンフラッシュ(Green flash)、水平虹

特別1.民謡からみた日本海文化

 民謡というのは、非常に足が速く、ルーツ捜しはラッキョウの皮むきで、どうしようもない。メロディーの性質、リズム感は、そんなに簡単には変わらない。

1、音階から見た地域性
 一般的には西日本に律音階、呂音階がやや多く、東日本の方は民謡音階が多い。また、日本海側の方が民謡音階の割合が高い。
 京都、兵庫などの日本海側と、福井、石川あたりはわりに律音階系のものが多いが、富山は、民謡音階が80%を超す。日本海側はもともと同じような性質の文化だったが、あとからいろいろな文化がかぶって変わっている。

2、リズムから見た地域性
 追分的なリズムは、東日本に多い。北陸では追分的なリズムは少なく、もともと海洋民的なリズム(一ずつゆれているリズム)感がある。勝手に自由に歌うというよりは、波に乗っていく感じがどこかある。
 東日本より西日本の方が高い声が好きです。
 太平洋側の方が古い要素をそのまま持ち続け、日本海側の方が新しい音を次々に加えている。

特別2.雪と日本海文化

 昭和30年代以降の「車社会」の成立を背景に「豪雪」なる語句が定着し、雪はひたすら排除すべきものとなった。反面雪は作物を冷害から守るとともに独自の雪国の遊び文化を生み育ててきた。雪国の特徴的防寒具であるゴザボーシ(茣蓙帽子)の材料、丈が北陸と東北とでは異なりこのような相違が生じるのは両地域の雪質の相違によること等。