会議

2008年度 運営委員会


平成20年5月13日午後3時~5時
東京都港区 富山県赤坂会館

Ⅰ 出席者

運営委員 伊東俊太郎会長、小泉格、大塚和義、丹羽昇、
藤田富士夫、中尾哲雄、佐々木外志、廣光俊昭
アドバイザー 中井徳太郎、秦陽一
事務局(3名)

Ⅱ 会議の概要

挨拶等

(1)廣光俊昭理事あいさつ

(2)伊東俊太郎会長あいさつ

議事

(1) 平成19年度事業の実施状況について

 事務局から資料に基づき説明

→平成19年度事業一覧

委員 ホームページの著作権についてはどのようになっているか。

事務局
 トラブルは具体的に発生していないけれども、著作権については、今後研究していき、トラブルが起こらないようにしていきたい。
 

(2)平成20年度事業の実施計画(案)について

事務局から資料に基づき説明
→平成20年度事業一覧

・「高度差4000mを活かす」について

委員 高度差4000mに水平距離が40kmであるところは富山県にしかない。高度差4000mだけなら世界各地にあるので、勾配を言葉のうえで強調して欲しい。

・学生フィールド講座について

アドバイザー 学びを20人だけで終わらせないように、テレビなどに取材してもらい、20人の感動を共有できるようにしていただきたい。それを観光につなげることができればなおよいのではないか。 

・出版物の制作について

委員 『日本海学の新世紀』が終了するが、今後も出版物の制作は続けていって欲しい。出版物がなくなるとこれまでの日本海学が衰退していくように思う。

委員 最近グローカリゼーションという言葉が使われるようになっている。20年度の方針としてフィールドワーク型の講座(ローカル)を増やしていくことはよいことであるが、同時に従来、日本海学が行ってきた学術研究的な面の活動(グローバル)も必要である。その意味でも、叢書でもいいから出版物の制作は継続していくべきである。

・学生フィールド講座について

委員
 各大学の日本海学講座と学生フィールド講座をうまくリンクさせていけばよいのではないか。各大学の日本海学講座の多くは後期に実施されているが、これを前期に実施してフィールド講座と連携させたり、単位を認めるとかすればもう少し参加者が増えるのではないか。

・教科書の作成について


委員 富山大学だけのものではなく、汎用性のある教科書ができないものか。ローカルだけでなくグローバルな視点を忘れずにこれまでの立派な研究成果を教科書として残せないものか。

委員 NOWPAPの地域活動センターに指定されている(財)環日本海環境協力センター(NPEC)は、環日本海環境白書というものを出しているし、県がかかわっているいろいろな機関の成果を、連携を取りながら、分担してまとめていくことも重要なのではないか

・日本海学の対象地域について

委員 NOWPAPが対象にしている地域と日本海学が対象にしている地域がずれている。今後の経済社会情勢を考えるならば、渤海を含め、東シナ海あたりまでを対象にするのもよいのではないか。

アドバイザー  台湾あたりまでを対象にすれば、逆さ地図が「めがね」のように見える。

委員  環日本海のネットワークを作るうえでは、もはや富山県を真ん中において考える必要はなくなってきているのではないか。

アドバイザー 富山県のやってきたことやフィールドとしての富山は、日本に誇るべきものがある。しかし、富山だけにこだわらないでグローバルな視点や日本海学の「共生」を忘れないで欲しい。

委員 富山が中心でなくてもよいと言われるのは心強い。環日本海の各県が色々な機関、研究所を持っている。これまで連携を取ってきたことが無かったのではないか。金沢、新潟、秋田などではどのようなことをしているのか我々も聞きたいところがある。環日本海のネットワークを作るということでは、イニシアチブは富山県がとっても、中心でなければならないということはない。環境などで、今環日本海の協力はどの程度進んできているのか。

事務局 昨年12月に「北東アジア環境パートナーズフォーラムinとやま」が開催された。日本、中国、韓国、ロシアの4カ国の経済界、学界、自治体が一堂に会し、北東アジア地域の環境問題の解決に向けた産・学・官の連携のあり方や役割分担などに関する意見交換を行った。

委員 現実はここまで進んできたということか。素晴らしい取り組みだ。

事務局
 グループ支援の研究で、オオミズナギドリの研究があるが、これは新潟県の粟島をフィールドとした、新潟県の大学教員の研究である。このように門戸を広げていかなければならない。

(3)平成21年度以降の取組みについて

・新しいテーマの視点

委員 海岸侵食ということがこれまで日本海学でとりあげられたことがあるのか。神社や住居を移転しなければならなかったり、生活に密着した重要なテーマではないか。

委員
 いいテーマである。侵食された土砂は必ずどこかにあるはずである。それを理学部あたりの先生が研究したらいいし、工学部の環境工学の視点からの研究もいい。(テトラポットなど)

委員 雨晴海岸の石を高岡城に利用したのではないかということが言われており研究中である。江戸時代の石切の跡がある。

委員 海岸の砂利がどこからきたのか、ということも研究できる。

委員 海岸については、色々なことを富山県ではやってきている。しかし、バブルがはじけてお金が無くなり、継続できていない面がある。

アドバイザー 食料、水、資源の危機はずっと言われてきたし、それを日本海学でも扱ってきた。しかし、その答えはどこにあるかと考えたときに、遠いところにあるのではなく、足元の身近なところに埋もれている。それを掘り起こす事が大切であるが日本海学はそれをやってきたし、富山県に色々な答えがある。例えば定置網や合掌集落の結いなどである。それを県内外の多くの人々が発見できるような日本海学であって欲しい。フィールドワークと研究をうまく結び合わせたり、県内の大学が役割分担を上手にしていったりして今後展開していって欲しい。

委員 富山県は日本の古いものが残っていて、生活水準も高い。日本のこれから目指すべきものが富山県にあるのではないか。

・まとめ


会長
 このまま行くと人類が滅びてしまう。地球の危機に対する答えは、足元の身近なところにあるという発想は大変すばらしい。また、世界の中の日本、富山を考えることが大切だ。例えば山岳というテーマで、世界の山岳はどうか、日本の山岳は?富山の山岳は?というように、地形、信仰などの項目で研究していけばすばらしいものになる。ただその一方で、県民に実感が持てるような地に足のついた取り組みも大切だ。海岸侵食などの生活に密着したテーマもこれからの日本海学には必要である。本日の活発な議論で出た建設的な意見を取り入れて頑張っていただきたい。