日本海学研究機関等連携事業

日本海洋学会 「衛星データにより観測された富山湾における1998年から2006年のクロロフィルa濃度の変動と富栄養化の関係」


2007年度 日本海洋学会春季大会シンポジウム
日時:2007年3月22日
会場:東京海洋大学品川キャンパス

○寺内元基(NPEC)・石坂丞二(長大水産)
キーワード:富山湾,富栄養化,クロロフィルa 濃度,衛星リモートセンシング

1.はじめに

 富山県が実施している富山湾におけるCOD(化学的酸素要求量)の水質環境調査結果によると、富山湾沿岸域のCOD は1998 年が高く、その原因は富山湾内における植物プランクトンの増殖(富栄養化)によるものと推測されている。ここでは、植物プランクトン濃度の指標とされ、且つ衛星データによって推定が可能なクロロフィルa 濃度に着目し、富山湾におけるクロロフィルa 濃度の変動と富栄養化の関係について考察する。

 

2.調査方法

 対象海域は富山湾全体を含む北緯36.50~38.00、東経136.50~138.50 とし、外洋、湾中央、湾奥(主要河川の河口域)のクロロフィルa 濃度の変動を調査した。

 衛星データには、NASA が処理し配信している、1997年10 月~2004 年12 月のSeaWiFS データと2002 年6 月~2006 年11 月のMODIS データを用いた。現場データは、1998 年~2003 年にかけて、富山県により月1 回の頻度で富山湾湾奥部において観測されたクロロフィルa 濃度、COD 等のデータを用いた。

 

3.結果と考察

 

図1.SeaWiFS 及びMODIS により観測された富山湾湾奥部の
クロロフィルa 濃度の長期変動。データは月平均値を表す。

 衛星データから取得されたクロロフィルa 濃度は、いずれの海域においても、顕著な季節変動を示した。湾外では、春季と秋季にブルームが見られ、湾奥部では毎年夏場から秋にかけてクロロフィルa 濃度が増加する傾向が見られた(図1)。また、SeaWiFS が観測した1998 年の夏場のクロロフィルa 濃度は10mg/m3 を超え、他の年のSeaWiFS の観測結果と比べて高いことが明らかとなった。一方、MODIS のクロロフィルa 濃度はSeaWiFS と比べて高い値を示すが、図2 に示す現場クロロフィルa 濃度との関係から、過大推定されている可能性が示唆された。発表では2004 年以降の現場データの解析結果も含めて議論する。


 

 

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図2.衛星と現場クロロフィルa 濃度の関係。