日本海学研究機関等連携事業

日本海洋学会 「実習船艇による富山湾の海洋環境計測」


2007年度 日本海洋学会春季大会シンポジウム
日時:2007年3月22日
会場:東京海洋大学品川キャンパス

○千葉元(富山商船高専・商船学科)・古山彰一(同・情報工学科)
・横井幸治(同・練習船「若潮丸」)
キーワード:実習船艇、海洋環境計測、富山湾、海上授業

1.実習船艇による海洋環境計測

 富山商船高専では、総トン数5t未満の小型船舶から、同231tの大型船までの、様々なクラスの実習船艇を有している。これらの船艇の主目的は学生の海技教育であるが、富山湾をフィールドとして、様々な海洋環境計測にも取り組んでいる。これを、研究・教育、また地域貢献に活用している。

 

2.「若潮丸」によるCTD・ADCP 計測

 図1に当校の練習船「若潮丸」の外観を示す。海技実習、各種調査研究で、富山湾内を主とした航海を行っている。そして、海洋観測船として、CTD、ADCP、マイクロ波ドップラーレーダ式波高計、深海用音響測深機(2000m)等を有している。


 

 ADCPは、(株)SEAのコーディネートによるRDインストルメント社製のシステムが装備されている。当システムではボットムトラッキングで約200~300mまでの計測が可能である。図2は当システムによる計測結果であり、細線は航路に沿った計測結果(流向流速ベクトル)で、太線は計測結果より推測した全体的な流れを示している。これは能登半島北方の水深が約100m以下の浅海域を航走した際の、ボットムトラッキングモードによるものである。これより、対馬海流の本流と、能登半島の陰部分における流れの乱れの状況を良く捉えていることが分かり、2005年の同時期の計測でも同じ傾向が見れる(1)。


 

 一方、CTD は、(株)SEA のコーディネートによるFSI 社製のシステムが装備されている。このCTD では水深が約2,000mまでの水温、塩分濃度、溶存酸素濃度等の観測及びサンプル採水が行える。この観測を新湊沖約5 海里の定点で定期的に行い季節変動特性の把握を行っている。図3は、この定点における水温の観測結果である。これより、冬季における鉛直循環や、深層水域における温度の安定状況等が把握できる。


 

3.研究・教育・地域貢献への展開

 こうしたCTD・ADCP 観測を定期的に実施している。また「若潮丸」のみでなく他の実習船艇でも、それぞれの船艇の特長に応じた海洋環境計測を実施している(2)。そして、これらは地元研究機関との連携も密にしている。一方、自校及び他校学生、地域住民への海洋環境教育にも応用している。

参考文献:(1)千葉他:船舶搭載型ADCP による対馬海流の流向流速計測,電気学会論文誌C(採録決定)(2)千葉他:富山湾の海水温度・塩分濃度の季節変動特性,富山商船高専研究収録第38 号(2005)