「なわばり」と「すみわけ」

海や川など自然界の生き物には、「なわばり」と「すみわけ」という行動がよく見られます。たとえば、海から上がってきたアユは、卵を産む場所を守るために、自分の「なわばり」をもちます。 それぞれのアユがなわばりをもつことで、卵が広い地域に散らばって産みつけられていくわけですが、そこに自然界の生き物の知恵をみることができます。
川では上流から下流に違う種類の魚が、あらそいが起きないように、それぞれすむ所を分けています。これを「すみわけ」といいます。
同じように、海や山に生きる人びとも、この「なわばり」と「すみわけ」と似た知恵をいかして、海の恵みをわけあい、共存するようにしてきました。日本海にはこれらの知恵がたくさん残っています。

魚たちはどんなふうにすみわけをしているのかな? 川のなかのようすをのぞいてみよう!

川魚のすみわけ

川魚のすみわけ

同じ川魚でも、上流からイワナ・アマゴ・ウグイ・コイというように、魚がすみわけをしています。イワナやアマゴなどサケ科の魚は冷水を好み、多くが上流域にすんでいます。 コイやフナなどのコイ科の魚は、水があたたかく、流れのゆるやかな場所を好み、多くが中流域にすんでいます。ウグイはすむ範囲(はんい)が広く、上流や下流でも見られます。 そして海でも同じように、沿岸の岩場や浅せにすむ魚、沖の広い海にすむ魚、深海にすむ魚など、魚たちのすみわけが見られます。