くじに見る知恵

日本の多くの浜では、昔から各村で網(あみ)を入れる場所を決め、他の村との漁場のすみわけをしてきました。そして、なわばりが守られた村の漁場には、さまざまな取り決めがありました。
山形県の飛島(とびしま)のトビウオ漁は、網を入れる場所をくじ引きで決めていました。この地域では村ごとに岩のりをとる日も決められていて、2日目までは共同で収穫(しゅうかく)し、とれたものは参加者で平等にわけていました。3日目からはそれぞれに収穫し、個人のものとしたそうです。
また、京都府の丹後半島(たんごはんとう)や島根県の隠岐島(おきのしま)でも、同じように地域で岩のりをとる日を決め、始めと終わりの日をホラ貝で合図する村もありました。
このように浜では、人間どうしがうまくつきあうための知恵が多く生み出され、その知恵が共有されてきたのです。

魚を平等にとるために、くじをしたんだね。みんなの地域にも、よく似た知恵が残っているかもしれないよ。

飛島のトビウオ漁

飛島のトビウオ漁